6-dim+ Special Contents “interview”

6時限+ はなしの時間 hanashi no jikan

#004 舞台照明デザイナー 山口明子さん

6:内輪と外輪の繋がり
ロクディムジャパンツアープロジェクト in 仙川 2017/3/20 田口歩 撮影 ピンスポットで照らされる小田篤史
ロクディムジャパンツアープロジェクト in 仙川 2017/3/20 田口歩 撮影
ヒロシ
以前話した時にあっこさんがおっしゃっていた、「ここにピンスポあててください」って言われたとしても、ピンスポを当てる意味とか、これを当てることで何を伝えたいのかがわからないと明かりが作れない、っていうのを聞いて、すごい腑に落ちたんですよ。そうだよな!と思って。
あっこさん
うん。
ヒロシ
照明家さんによっては、機械的にそれを点けてって言われたら「点けます」ということもできると思うんですけど、でも、そこにある相互理解というか人間性というか価値の共有みたいなものは、大事だなと思って。
あっこさん
大事ですよ。「点けろ」って突然言われました、でも「その後どういう展開になるの?」って即座に聞いちゃます。
篤史
うんうん。
あっこさん
それって?何をするためのもの?って。
ヒロシ
ということですよね?
あっこさん
うん。それが繋がりなんだなって。
篤史
ああ〜。
あっこさん
ロクディムと10年付き合って「点けて」って言われたら、「あ、はい、わかりました」って言うでしょ(笑)
篤史
(笑)
ヒロシ
うん(笑)
あっこさん
「あれ、するんだよね?」「あれ」って(笑)
はなしの時間#004|対談する山口明子さんとカタヨセヒロシ
篤史
「あれ」で通じる(笑)
あっこさん
でも、最初の段階は、点けました、「そっから?」「暗くしていく?」「で、消すの?」、「そっからこっちに移るの?」とか。
ヒロシ
そうですよね。
あっこさん
それが人間関係っていうことでしょう。「作品何作りたいの?」っていう、作るためにどんなバックボーンがあるの?6人にね、っていうことにつながっていくだろうし。
篤史
そこがやっぱり、今までいろんな劇場でやらせてもらって、その劇場々々の照明の担当の方がいらっしゃって、一緒にやってもらってるけど、やっぱりそこが大きく違うと言うか。「ここにスポットを下さい」とか「点けられますか?」とか聞いて、「はいオッケーです、できます」というやり取りはしてきたけど、どういう意図で?とか、そこのやりとりは、そこまでしていないので。
あっこさん
時間ないしね。
篤史
そうです、そうです。そこがやっぱり全然違うところなのかなあ。
ヒロシ
そうだね。うん。
あっこさん
説明はしたいけれど、説明を長々されても、「ああ、ああ、ああ」で終わっちゃうし。
篤史
そうそうそう(笑)
あっこさん
ですよね?
篤史
はい、お互いに。
あっこさん
お互いに。そんな説明されたってわかんないし、もっと端的に言って、って言われちゃうもんね。
篤史
そうですね。その日いきなり行って、その場でっていうことが多いので。
ヒロシ
そう考えるとありがたいねー。仙川劇場の照明さんも、本当に。
篤史
その中でも、ライブ中にいろいろいじってくれて、遊んでくれるんですけど。
ヒロシ
そうだね。
あっこさん
うんうん。ありがたいね、なかなかそこまでやっていただける劇場さんてないから。で、話を戻すけど、理解してくれる照明さんがいること=固定の照明さんがいるっていうこと。大きな劇団だと必ず固定の方たちがいるじゃないですか。それはもうマンネリズムになったとしても、分かり合えてるっていうことの安心感、保証なんだと思います。照明さんを選ぶ時のことをよく言うんですよ。自分の服を選ぶようなものだよって。
あっこさん
髪の毛切る時もそう。
ヒロシ
あ!はいはいはい!
あっこさん
ああ、じゃあ髪の毛でいいや。髪を切る時に、そのお店に行ったら確実だって思うじゃないですか。それと一緒なんですよ、照明さんって。その人に「こんな感じで!」って言ったら、そうできる人。誰でもいいわけではないんですよ。
ヒロシ
そうですね。床屋さん、分かりやすかったです。
篤史
うん
あっこさん
だから、それのためには、高くてもいい、そこに行けば確実だからそこに行く、ということと一緒で。自分たちのブランド、自分のブランドのひとつである。
ヒロシ
そうですね。全くその通りですね。僕は瀬川さん、浅草の瀬川さんという床屋さんで切ってます。
篤史
僕は自分で切ってます。
あっこさん
そうなの?
篤史
なんか、やっぱり、頼むとやっぱり違うなって思って。
ヒロシ
1,000円カット、やめちゃったの?
篤史
1,000円カットすらもやめちゃった。なんか、ちょっと違うんだよなって。
あっこさん
いいんじゃない、うん
篤史
奥さんも美容免許を持っているので
あっこさん
ああ、うんうん。
ヒロシ
へえ〜
篤史
で、あれば、もう、(直接)こうしてほしいって言う。
ヒロシ
その髪型は愛の結晶じゃないか。
あっこさん
確かに。
はなしの時間#004|対談する小田篤史
篤史
一昨年、僕たちのライブに関わってもらって、僕らの中で変化したことがあるなあ、って思って。
あっこさん
へー!そうなんですか!?
篤史
はい(笑)あれから50公演くらいかな、日本格地でやらせてもらってるんですけど、あの経験が大きくて、すごく単純なことからいくと、プロの人に関わってもらうっていうことで、今までおろそかにしていた「舞台を作るまでにこういうことをしなきゃいけないよ」ってうこととか。あるじゃないですか?Qシートを作るとか。
あっこさん
うんうんうん。
篤史
そういうことが必要なんだ、とか改めて。僕たちの外にいる人とどう関わらなきゃいけないのか?を、学ぶようになったなって。で、それと同時に、うまい具合に僕らも地方の大きな劇場の人たちとやらなきゃいけない場面が増えてきて。
ヒロシ
そうですね。
篤史
なので、そういう変化がありがたかったというか。それがなかったら多分出来なかったなっていうのもあって。で、今回の「MOVE」でどういうことができるのか? 僕もまだしっかり見えてないんですけれども、あっこさんが入ってくれることによって、僕たちが「どう見せたいのか?」とか「どこを見て欲しいのか」っていうことを、もっと考えていかなきゃいけないなっていうのを感じていて。
あっこさん
うんうん。
篤史
例えばお客さんに「ひと言」を書いてもらう、そのことはどういうことなのか?とか。自分たちの即興をして、物語が生まれていくということを見せるってどういうことなのか?とか。それを突きつけられているというか。そこを踏み込まないと、一緒にやる意味がないなぁと思っていて。そこはいい意味で緊張感があるんですけど。だから、適当に思ったことを、ただやっているだけで笑いが生まれてっていう、それだけじゃ済まされなくなるなあって。
あっこさん
(笑)それ、すごい面白い!
篤史
今までがそうじゃなかった、っていうことではないんですけど(笑)
あっこさん
いやいやいや。そう思っているっていうのが、うん。自分たちで追い込んでるんじゃない?(笑)
篤史
そうですね(笑)今回、浅草九劇という劇場でやるのもそうだし。なんか、ひとつ、変わっていくタイミングなのかなって思ってて。
あっこさん
うん。
篤史
それが面白いんですよね。それがどういうことなのか?まだはっきりわかってないんですけれども。
ヒロシ
それと、ロクディムに関わってくれる人の世界観が僕らのパフォーマンスにすごく影響を及ぼしてくれるので、それがいわゆるお仕事としてだけじゃなくて、一緒に向かいましょう!っていうものだと嬉しいなあって思ってるんです。
篤史
そうだね
ヒロシ
それがお客さんには伝わるだろうし。その規模が大きくなったら嬉しい。そうなるといいなあと。
篤史
今までの僕たちのロクディムの即興って、ライブ前のやりとりとか、まあライブ中、ライブ後もそうですけど、お互いにどう思っていたとか、お客さんがどう感じていたとかっていう、内側の視点っていうのが、比重が大きかったような気がしていて。
あっこさん
はい。
篤史
それは、やっぱりその「関わり」を「表現」に変えているロクディムの特徴だとも思うんですけど。で、今回、それが「どう見えるのか」っていう照明からの「視点」が入ってきたなって思って、それイコール、また、もう1回まわって、じゃあ、ということは、それはどういう意図でとか、なんか、外入ってまた内に戻るみたいな、なんかそういう作業が、本番までにもっともっと行われていくんだろうなーと思って。なんか、それ、すごい面白いなぁって思って。
ヒロシ
輪が内側の輪だったのが
篤史
そうそう(笑)
ヒロシ
外側になって
篤史
そう、一回
ヒロシ
大きくなった感じがあるね
篤史
もう一周ね。うん。多分、違って見えてくるだろうし。
ヒロシ
全然違うと思うよ。
はなしの時間#004|対談する山口明子さん
あっこさん
本当に望むことは人それぞれ。さっき、一昨年のVACANTでロクディムと初めてやった時の感想は?って聞かれた時に、単純に最初に思った「即興照明をやったこと」にしか触れてなかったんですけど、さらに言うと…
ヒロシ
はい、是非聞かせて下さい。
あっこさん
その、これ、手厳しい話になるんですけど。今はわかりませんよ。でも、あの時は、やっぱり「内輪だな」とは思ったんですよ。
篤史
はい
ヒロシ
うんうん
あっこさん
そこが、どう広がっていくのかな?っていう、 すごくクールな見方をしていたと思います。
篤史
うん。
あっこさん
私の中で。
ヒロシ
いや、でもそれは、本当に重要なことで僕らにとっても。
あっこさん
うん。
ヒロシ
それは挑戦してこじ開けなきゃいけないところなんです。
あっこさん
でもね、初めて見た息子が、本当に大好きになり、めちゃくちゃ面白かったって言って(笑)
篤史
(笑)
ヒロシ
あら!マジすか?
あっこさん
ロクディムさんと会うって言ったら、なんで僕は連れてってくれないの?っていう。
はなしの時間#004|対談する山口明子さん
ヒロシ
(笑)
篤史
うんうん。
あっこさん
その素直な感想っていうのは「汚れ」がないんですよ。言ってみたら私には汚れがあるんですよ。見すぎてるから。そこは、すごく大切にしなきゃいけない意見だと思っていて。だから、今言った自分が発した言葉に対してどう決着をつけるかは、できない。私の中でまだ結論がないんです。これから何回も見て、意見できる話ではあると思うので。とにかくあの時点では、内輪で受けているかな?っていうところは、強かったと思います。
篤史
そうですね。そこは、ほんと、向き合わなきゃいけないところですね。
あっこさん
で、その面白さをどこに持っていくのか?でも方向性は絶対あるはずだし、今日、話をしてわかること、わかったことでもあるので、楽しみにしているとしか言えないですけれども。
ヒロシ
ありがとうございます(笑)
篤史
そうですね。うまく言葉にできないんですけど、内輪っていうのはすごく嫌。僕らも嫌なんですけど。なんか、どっか僕らのパフォーマンスの魅力の中に、内輪の、何て言うかこの、良さって言うと言葉が違うんですけど
あっこさん
はいはい、うんうんうん。
篤史
なんか、そこに似てしまう「特徴」みたいなものが、何かあるような感覚があって。
はなしの時間#004|対談する小田篤史
あっこさん
ああ、おっしゃることはすごくよくわかる。私たちはエネルギーを発信していて、そのエネルギーに吸い寄せられるようにみんな来るわけじゃないですか。
篤史
はい。
あっこさん
それは、言ってしまえば内輪なんですよ(笑)
篤史
うん(笑)
あっこさん
ただ、あまりにも小さな世界では良くないっていうこと。
篤史
ってことですね。はい。
ヒロシ
あと、僕が、あっこさんのに無理やり付け加えるとしたら「それで満足するなよ」っていう。もっと広げて、もっといろんな人が関わってくれる中で、面白いねって言い合っていけるのは嬉しいし。でも、その内輪が10,000人になったら、多分、内輪のレベルも変わってくるし。でも、内輪なんだけどみたいな。だから僕らがどんだけ伝えていく、外に広げていくっていう意識があるのかな?というところで。
あっこさん
うんうん
ヒロシ
息子さんが面白かったって言ってくれたのは、やってることに間違いは多分なくて、面白いと思ってくれる要素がもちろんあって、それをいかにこう、もっと外へ向けて「びゃー」って、できるかなっていうチャレンジなのかなっていうところなんじゃないかな?
はなしの時間#004|対談するカタヨセヒロシと山口明子さん
あっこさん
うん。
ヒロシ
だからもちろん、似て非なるものはあるんだけど。
篤史
うんうん。
ヒロシ
満足しないとか、さらに次、みたいな所になるのかもなって、思った。
あっこさん
表情の面白さとか、ドリフターズ的な面白さとかもあり、そこに、大人の要素、つまり社会的な経験が加わるとさらに面白いだろうしね。一般受けしなくても分かる人には分かる瞬間があったり、みんながわかる共感できるものがあったり、そういうものが散りばめられるようになれば、面白いんじゃないかな。
篤史
そうありたいですね。
あっこさん
今ので思ったのは、自分の作業と一緒で、膨大な土台があっての即興芝居だと思うんですよ。だから、その膨大な情報量、経験を作らないといけないんだろうね。これからもっと。
ヒロシ
もっともっと。
あっこさん
で、今までは内輪でやってたことが、私のようにひとり誰かが入るということは、その後ろに何百人といるわけだから、誰が見るかも分からないことになっていくので、その人達にも対応できるような準備をしなければいけない。それは、言ったように、膨大な経験であり、膨大な情報であると思うんですよ。それを感じるから、さっき言ってた「こわい」っていうことですよね。(声を出して笑う)
篤史
(笑)ヤバいぞ、みたいな。
あっこさん
大変な作業だとは思います。ただそれをやらないと、きっと発展はないんだろうね。その情報をどうやって手に入れるかは、それぞれが日々の生活の中から得ることと、公演をやるごとに誰かと話をし、ダメ出しをされたことを、また次に繋げていくことだろうと思うし。新たな人と出会って話をしてという作業なんだと思いますよ。社会にいつ出てもOKな準備がされているものであるべきだと思うので。カタチは即興じゃん?カタチは即興だけれども、即興をするってすごく究極なハナシだと思ってるんですよ、私。ここに(体の中に)ものがないと即興はできないから!(笑)すごいことをしている人達に出会えてすごく嬉しいし、これから先、どんなことになるのか期待もしてます。そこに私がなにか助言ができることであればしたいな、と思う。なんか緻密に、計算された、即興だよ。あははは!(声を出して笑う)
ヒロシ
それに、柔軟に対応していく(笑)
あっこさん
そう、それ!(笑)
ヒロシ
オトナの即興。
篤史
ね。オトナの即興になっていくのかね。
あっこさん
なっていくんじゃない、自然と。私は、そういうロクディムっていう人達を客観的に見て行きたいなぁと思いますよ。是非。

ということで「はなしの時間#004『即興と灯り]」は今回で終了となります。読んでいただきありがとうございました。

山口明子さんを照明に迎えての ロクディム第11回東京単独ライブ「MOVE」 を2017年6月10日・11日におこないます。是非こちらもチェックして下さい。ロクディムの即興芝居×即興コメディと山口明子さんの照明のコラボレーションをお楽しみに、お越しください。

はなしの時間#004|対談するカタヨセヒロシと小田篤史と山口明子さん

© ロクディム:6-dim+|即興芝居×即興コメディ|この瞬間を一緒に笑おう