6-dim+ Special Contents “interview”

6時限+ はなしの時間 hanashi no jikan

#005 浅草九劇プロデューサー 佐々木弘毅さん

1:記事タイトル
ロクディム対談企画「はなしの時間」第5回 浅草九劇プロデューサー「佐々木弘毅」さんとの写真

贅沢な距離感の浅草九劇

あつし
今日は九劇のプロデューサーであります佐々木さんに、劇場の魅力や、浅草っていう場所で九劇がやろうとしていることをお聞きしたいなと思っています。
佐々木
はい、よろしくお願いします。
ロクディム
よろしくお願いします。
あつし
まず、佐々木さんロクディムのことって知ってました?
佐々木
もちろん、知ってましたよ。ただ、ごめんなさい、実際に拝見したことはなかったですけど。
ロクディム対談企画「はなしの時間」第5回 浅草九劇プロデューサー「佐々木弘毅」さんとの写真
あつし
そうだったんですね。知ってもらえていてよかったです。もともとロクディムは2015年の『第6回したまち演劇祭in台東』をきっかけに、浅草にご縁ができて、去年も『浅草 東洋館』で単独ライブをやりました。
ヒロシ
いろんなご縁で、浅草六区の防災イベントにも呼んでいただいたり。
あつし
はい。そういう流れがあって、浅草に新しい劇場ができるって聞いて、びっくりして。
佐々木
そうでしたか。
あつし
それで、演芸場の良さとまた違う、劇場空間だからできる面白さがあるよねって話をして九劇でやってみようとなったんです。
佐々木
ありがとうございます。
あつし
劇場なので、照明の魅力も大きな違いだったり、空間がシンプルだからこそ、お芝居から生まれる一体感も濃くなる気がして。特に、九劇はステージと客席の距離感の近さがいいなって感じました。
佐々木
そうですね。
あつし
こけら落としは『ベッド&メイキングス』さんでしたよね?あの距離で八嶋智人さんたちのお芝居が見られるってすごく贅沢ですよね。
佐々木
そうですね。ベット&メイキングスだからできるキャスティングの強さっていうのもありますけど、距離の近さでいうと昔渋谷にあったジァン・ジァンみたいなイメージですかね。

渋谷ジァン・ジァン
小劇場 渋谷ジァン・ジァン(しょうげきじょうしぶやじぁんじぁん)は、東京・渋谷の東京山手教会地下に1969年7月から2000年4月まで存在した、収容観客数200人未満の典型的な前衛小劇場である。内部は大変狭く、舞台の左右に観客席があるという変則的なスタイルが特徴で、文字通り「アンダーグラウンド」に、前衛舞台芸術の発信地として機能してきた。(Wikipediaより抜粋

ワタリ
いい距離感!
あつし
浅草に観光に来た人とかも、フラッと立ち寄って、この距離感で楽しめるっていいですよね。
佐々木
そうですね。もともと演劇って高尚なものじゃないと思うんですよね。
あつし
なるほど。
佐々木
演劇の始まりで考えたら、シェイクスピアとか野外で娯楽として見られていて、それが日本では高尚なものになってしまった気がするんです。
ワタリ
海外のほうが気軽に演劇を観に行ってる感じしますよね。
佐々木
本当はお酒飲みながらとか、それぐらい気軽に観て欲しいですね。
ワタリ
ロクディムの活動の最初が、東京コメディストアJという団体で、お客さんはお酒飲んだり、ご飯食べたりしながら見るスタイルだったんですよ。やっぱり、そういう環境だと、気軽に見られるし、盛り上がるんですよね。気軽に来て欲しいという想いがあっての、九劇の距離感の近さ。良いですね。

浅草でやることの面白さ

ロクディム対談企画「はなしの時間」第5回 浅草九劇プロデューサー「佐々木弘毅」さんとの写真
あつし
浅草は芸能の聖地と言われる場所ですよね。ビートたけしさんや萩本欽一さんという大スターが育ってきた場所で、即興という、新しいエンタテインメントをやるということにある種のチャレンジというか、特別な思いを感じてるんです。そういう想いもあって、新しいエンタテインメントを発信すると掲げている九劇に、勝手ながら重なる思いがあるんです。
佐々木
ありがとうございます。たしかに、浅草という場所は芸能の聖地でもありますけど、繁栄と衰退を繰り返してきた街という側面もあったりします。今ももちろん、浅草 東洋館さんや、演芸ホールさんが頑張っていて、エンタメの街ですけど、街としてまた生まれ変わろうとしている最中でもあったりして、そういう意味でも面白い場所だなと思ってます。あと、演劇という視点でいうと、下北沢には本多グループがあったり、中野にはポケットがありますよね。新宿は今は無くなりましたけどトップスがありました。そこをあえて東側の浅草で劇場を作るっていうのが面白いと思っています。
あつし
海外から見ても、東京の中でこの浅草は特別な場所という感じもしますよね。
佐々木
九劇には上にホテルもあるので、海外から来た人がフラッと劇場に寄れるようになるといいなと思ってます。ゆくゆくは世界から人が集まってきて、エンタメの中心になっていきたいですね。
ワタリ
海外だとブロードウェイだけじゃなく、観光で演劇を見に行ったりしますもんね。
ロクディム対談企画「はなしの時間」第5回 浅草九劇プロデューサー「佐々木弘毅」さんとの写真
佐々木
ブロードウェイにも視察に行ったりしましたけど、言葉がわからなくても面白いものは面白いじゃないですか?九劇でも小野寺修二さんのノンバーバルな作品もやりました。(カンパニーデラシネラ
佐々木
海外から浅草に観光で来た人が演劇も観ていくようになったら面白いと思っていますね。
あつし
あと、浅草って芸人さんとか、芸事が受け入れられてる感じがありますよね?
佐々木
確かにそうかもしれませんね。
あつし
僕たちは一昨年のしたまち演劇祭での時に、縁ある方の紹介で老舗の洋食屋さん「ヨシカミ」さんでパフォーマンスをさせてもらえたんです。人気店なんで、満席なんです。みんなナイフとフォークでハンバーグとか食べてるのに、お店の方が「どうぞ、やりな!やりな!」って(笑)。挨拶もしてないのに、「芸人さん?どうぞ、やってください」っていう受け入れ方で。僕らが何者かわからなくても、受け入れてくれる芸事への理解というか、懐の深さというか、浅草ってそういう街なんですよね。
佐々木
そうですね。もちろん僕らも地元の方々との関わりは多いですが、浅草の街に住んでる人たちは、自分たちの街のことを誇りに思ってる感じはありますね。一つの村のように繋がりも強いように思います。
ヒロシ
したまち演劇祭にださせてもらった時も、知り合いに浅草で公演をすることを相談したら、「まずあの人に会った方がいいよ」みたいに紹介してもらって、その人に会いに行ったら、「それなら次はあの人に会いに行きな」みたいになって、人生すごろくみたいにいろんな人に出会えたんですよ。
佐々木
一つ間違えると振り出しに戻ったり?!(笑)
ロクディム
え~!!そういうこともあるんですか?
佐々木
わかりませんけど、あるかもしれませんよ(笑).
ヒロシ
それは怖い・・。
あつし
話を戻すと(笑)浅草の芸を受け入れる土壌みたいなものを、僕は九劇の方にも同じものを感じてるんです。
佐々木
そうですか?
あつし
初めて劇場でお話しさせてもらった時に、あれはだめ、これはダメっていうよりは、できる限り協力しますよっていう空気を感じてました。
佐々木
確かに、今まで僕は劇場を借りる側だったので、使う側の視点で考えていますね。
あつし
なるほど。佐々木さん、個人はこれまでどんなことされていたんですか?
佐々木
それ聞いちゃいます(笑)?
あつし
言える範囲で(笑)。
ロクディム対談企画「はなしの時間」第5回 浅草九劇プロデューサー「佐々木弘毅」さんとの写真
佐々木
大学で演劇を学んでいて、卒業してからフランスに行ってました。
ワタリ
え?そうなんですか!
あつし
じゃあ、もともとは演じる側だった?
佐々木
いやいや、やる側じゃなかったですけど。もともと映画が好きでそこからなぜか演劇の方へ進んだんですよ。
あつし
そうなんですか。
佐々木
で、そのあと活発な無職でした(笑)。演劇の制作やプロデュースをして、吉祥寺シアターの杮の時も関わったりして。その時に今の九劇の劇場技術を担当してるスタッフと一緒だったりして。
あつし
今に繋がってるんですね。
佐々木
そうです。今の会社に入って、劇場を作ることになり今に至るって感じです。
あつし
そうか、だから使う側の気持ちみたいなものを汲んでくれる感じがあるんですね。
佐々木
今までは借りる側だったんで色々劇場に厳しいことも言ってたなぁと今にして思うんですけど(笑)、逆の立場になってわかりました。そういう視点もあるので、できるだけ自分たちは融通のきく劇場でいたいと思いってます。
あつし
そういう空気が初めてお会いした時から出てました(笑)。

劇場が人を育てていく

あつし
「浅草から世界へとつながるエンタテインメントの渦のど真ん中を目指す」っていう言葉が、WEBにもありますけど、公演だけじゃなく、人材も九劇から出していこうっていう思いがあるんですか?
佐々木
そうですね。海外だと劇場が俳優を育てるっていう仕組みがありますけど、そういうものと少し似てるかもしれませんね。我々は芸能プロダクションなので、やっぱり若い人材を育てていかないといけないので。(浅草九劇は芸能プロダクションである株式会社レプロエンタテインメントがプロデュースする劇場です)
ロクディム対談企画「はなしの時間」第5回 浅草九劇プロデューサー「佐々木弘毅」さんとの写真
ワタリ
たしかに、海外だと劇場の役割も違ってたりしますもんね。
佐々木
日本はもともと劇団システムの方が育ちやすいところがあったと思います。つかさんの劇団から多くの俳優が育ったりしたみたいに。
あつし
そうか、そうですよね。
佐々木
あと、蜷川さんも同じですよね。でも、最近はプロデュース公演が多くなって、育成ってことで考えると、なかなか同じようにいかないところも出てきてる気がするんです。
あつし
プロデュース公演て今多いですもんね。
佐々木
個人的にはそういう点で演劇界は若手が育ちにくいんじゃないかと思ってます。
あつし
九劇って、アカデミア(銀座九劇アカデミア)っていう育てる活動もしてるんですよね?
佐々木
はい、それは銀座の方なんですけど。
あつし
じゃあ今後は「九劇出身です」っていう人が出たりするんですかね?
佐々木
あぁそうですね。そういうのが一番いいですね。例えば、テレビとかでウチの若い俳優が、「実は九劇で育ちまして・・」とか、ビートたけしさんが浅草で育てられましたみたいな、感じで話してくれるようになったらいいかなというのはありますね。
あつし
九劇で経験を積んで、面白い人たちが出てくればいいかなみたいな?
佐々木
出てきてくれたらいいですけど、なかなかそういうのって難しいと思うので、個人的には、自分がやってたことが300年ぐらい先で変わればいいのかなと思ってますけどね。チェーホフ100年て言ってるんで、僕300年て言っておこうかなと。
ワタリ
それはすごいですね。先を見ての今ってことですよね。
佐々木
そうすれば、僕たちがそこに滞在していた証みたいなものが残せるのかなって思うんです。
ヒロシ
ロクディムは、ゲストの方をお呼びすることもあって、例えば、一昨年の『したまち演劇祭in台東』の時は即興芝居とはまったく違うフィールドで活躍されているゲストの方に出ていただいたりして、そのチャレンジはお客さんからも好評だったんです。企画として、誰かと一緒にやることの面白さも勿論あるんですけど、逆にそれをやることで、今回のように自分たちメンバーのみ、単独でライブをするときの濃密さとか、濃さが見えてきたんです。一般的にウケるウケないということとは別な視点で、即興芝居をやることで「ロクディムは何を伝えたいんだろう?」とか、「ロクディムの即興という表現が100年先まで持続するか?」みたいな視点が出てきたんです。そういうスパンで考えたときに出てくる表現て、インスタントなものではないし、その視点はすごく大事だなって僕も思ってます。

第6回したまち演劇祭in台東でおこなったロクディムの公演写真 第6回したまち演劇祭in台東@浅草 東洋館-2015/9/9〜13 Junichi Takahashi 撮影

第6回したまち演劇祭in台東でおこなったロクディムの公演写真 ロクディム第10回東京単独ライブ「、(てん)」@浅草 東洋館-2016/9/17 Junichi Takahashi 撮影

佐々木
九劇のこけら落とし公演「あたらしいエクスプロージョン」の台本にもそういうのがあって。お話的には、日本の戦後初めてのキスシーンを誰が撮るか?みたいな話で。「フィルムに残れば、フィルムは100年先まで保存ができる。だから、この10秒間のカットは100年先までのOKなんだよ」っていう台詞があったんですけど、ぼくはすごくいい台詞だなと思ったんですね。そういうことをテーマに福原さんが、九劇のこけら落としの作品を書いてくれたことが嬉しいというか、九劇にとってすごく宝物だなって思ってるんです。

多様な人たちが集う九劇、あたらしい「MOVE」

ヒロシ
九劇は、設備的にカメラもあって、同時配信もできますよって伺ったんですが、ライブ番組とかライブコンテンツも発信していけるんですか?
佐々木
はい、そうですね。
ヒロシ
じゃあ、劇場だけれども、コンテンツを配信していける一つの基地みたいなイメージもありますね?
佐々木
一つのメディアになればいいかなと思いますね。
ワタリ
劇場だけど、それだけじゃないという感じが新しいですよね。育成する部門もあって、そこからスターが育っていくっていうのも、ある意味でこれまで浅草 東洋館でビートたけしさんとかが育ってきたシステムみたいなものが、形を変えてまた戻ってきた感じもしますね。
ヒロシ
配信したものの反応が、海外から戻ってくるみたいなこともありそうですよね。
佐々木
そうですね。例えばロクディムさんが終わった後、劇場下のカフェで打ち上げしてたら、ホテルに宿泊していたブロードウェイのプロデューサーから「見てたよ」とか「よかったよ」とか声をかけられる可能性もなくはないですからね。そういう交流の場所になれればいいなと思うし、ホテルと劇場と飲食と三味一体の魅力かなと思います。
ロクディム対談企画「はなしの時間」第5回 浅草九劇プロデューサー「佐々木弘毅」さんとの写真
あつし
いろんな形で人が集まりますね。劇場に来てくれるファンの人だったり、ネットから来る人もあって、他にもホテルとか飲食店とか、あと観光で来たりとか、多様な人たちが劇場に集まってくるところが、他の劇場と違う面白さですね。
佐々木
本当はそういう風に融合していければいいなと思いますけど、まだできて3ヶ月というところなので、徐々にできていければいいなと思っています。
あつし
今回の公演タイトルが『MOVE』って言うんですけど。「動く」とか「動き出す」とか「変化する」とかそんなメッセージを込めてて。いろんな人たちが融合していくお話を聞いて、九劇という場ができたことでエンタテイメントの流れが「動き出す」、一つのきっかけになっていくのかもしれないなと感じました。そういう歴史が動いていくみたいな、ライブ感も一緒に感じてもらえたらなと思うんです。
佐々木
そんな大層なことに捉えてもらって(笑)ありがたいですね。
あつし
大げさでしたかね(笑)
ワタリ
でも、さっき言っていた、300年先を見た覚悟みたいなものってすごいですよね。そういう劇場のエネルギーを受け取って、何ができるのか?自分たちにとっても新しいチャレンジなるなって思いますね。
佐々木
僕たちも期待しています。
あつし
本日は貴重なお時間ありがとうございました。
ロクディム対談企画「はなしの時間」第5回 浅草九劇プロデューサー「佐々木弘毅」さんとの写真

ということで「はなしの時間#005:佐々木プロデューサーに聞く浅草九劇」は終了です。読んでいただきありがとうございました。

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