6-dim+ Special Contents “interview”

6時限+ はなしの時間 hanashi no jikan

#006 映画監督 伏原健之さん

3:情報ではなく情感、それでいいのだ

情報ではなくて情感。ドキュメンタリーの神様が微笑んだ瞬間

りょーちん
お聞きしたいことがありまして。今回、テレビ番組ではなくあえて映画にしたということは、さっき言った、エンタテインメントっていうところにつながる部分もあると感じたんですが、映画化するということに、何かこいう意識されたことがあったんですか?
伏原さん
うちの東海テレビはドキュメンタリーを映画にしてて、今回10作目なんですね。自分はこの前に、樹木希林さんがお伊勢参りするってやつを映画にしたんですけど。

「神宮希林 わたしの神様」公式Webサイトのスクリーンショット
映画『神宮希林 わたしの神様』公式サイト
©東海テレビ放送

名古屋
めっちゃ観たいんですけどDVD化しないんです。だから似てるんですよ。東海テレビさんの、DVDじゃなくて映画館に観に来てよ、っていうのと、僕らのライブを観に来てよっていう。さっき聞いてて思いました。僕らもライブDVDは作ってますけど、やっぱりライブに来てほしいなあっていうのがすごくあるんです。
伏原さん
テレビ番組としてまず作って、それを映画にしようってしてた時に、希林さんが「こんなの駄目よ」っておっしゃったんですよ。その時に「何が違うんだろう」といろいろ考えて、実際出来上がったものを見たりとかして、それまであんまりテレビと映画の違いって、もちろんあるんですけど、そんなに考えたことなかったんですけど、そこですごい考えて。人生フルーツはそこを意識しました。そもそも映画化しようとして始めたものではないんですけど、映画にしたらどうなるんだろうな、っていうのを思ったりとかしましたね。それは意識して撮影しています。
で、テレビってやっぱり「分かりやすくする」っていう現状があって、カメラワークで言うと一番わかりやすいのは、ズームインすること。「はい、ここ見て下さい」っていうのがそうなんですけど。そういうのはカメラさんに「やめましょうね」ってことを最初から話していました。インタビューっていうのも、まあ、ドキュメンタリー映画ではあるはあるんですけど、やっぱりいかにもテレビ的な手法なので。どちらかというと、修一さんと英子さんが勝手にしゃべったりしているのを、音は全部録ってくれ、みたいなことを音声さんにも言ったりとか。説明をなるべくせずに、やっぱり画面も広いし、音もクリアなんで、情報っていうのはそういうところから感じてもらえればいいなと思っていて。
名古屋
完全なる無音じゃないですもんね。静かなシーンでも子どもの声が聞こえたり、風の音が聞こえたり、木の揺れる音とか。
伏原さん
制作する時には、そういうところは考えていました。だから、そこまでできてるかどうかはわからないのですが、一番は「情報」ではなくて「情感」だって思っていました。
りょーちん
それがテレビだけではなく映画化したいというところの動機の強い部分でしょうか?
伏原さん
そうですね。
メッセージ性を決めずにドキュメンタリーで「生き方」というか「情感」を「伝える」っていうことに、信念を感じたんです。僕たちも、即興でメッセージ性を作れる(用意する)こともなくて。その場で、その瞬間に起きたことしか掴むものがない状況で、誰かの頭の中で「いや俺の即興はこういうもんだ」ってコントロールした時には「完全にズレて」自分勝手なプレイになってしまうっていうのがあるんですけど。それはやっぱりメンバーの信頼関係だったり、ここの空気感をどこまで大事にするかだったりします。で「結果こうなったよね」っていうことを、お客さんに「さあどうですか?」って委ねるというか。時々、僕らは大きく間違うこともあるんですけど、それを含めた「生き様」やらを、みんなに提供するエンタテインメントなので、伏原さんのおっしゃった「メッセージを決めずに見ている人に委ねている」っていうのは、映画を見ててすごく感じて、それはすごい素敵だなーって思いました。そして、観てて、勝手に「通じるものがある」なって思いました。
伏原さん
そうなんですよね。プロデューサーはいつも「ドキュメンタリーの神様が微笑む時が必ず来る」って言っていて、ちゃんとやってればどこかで微笑む時が来るっていうことを我々は言われていて。一応、それを言い訳というか、信じる感じでやってはいるんです。

僕たちも、ライブをやる前はどんなライブになるか分からないです。分かるはずもなくて、祈るしかない。舞台に出て「今日、メンバーはどうなんだ?」「お客さんがどうなんだ?」っていうことを感じながら、自分のことをポンって放り投げたあと、祈る。それで勝つ時は勝つし、負ける時は負けるしっていうのも一緒に体験しようねっていうのが、ひとつ大きなことなので。「即興の神様が微笑む時は勝つでしょう」というような。
名古屋
ホントに、自分たちは分からない部分があって。ライブをやって良い心地はしたけれど、ライブ後の、終演後のお客さんがめちゃくちゃ盛り上がってるのを見て初めて「ああ」って分かるというか。これこそが即興の神様だなあと。
ヒロシ
昨年の大須演芸場でのライブでも、それを感じた瞬間がありました。もしかしたら、さっき伏原さんがおっしゃっていたのと同じシーンかもしれないのですけど、ジョージさんが自分の子どもに対してメッセージを送るところで、ジョージさん自身が子どもだった頃と今の自分の子どもを照らし合わせて「俺の子すごいんだー」ってことを、ホントに、涙を流しながら言ってるのを僕は袖で見ていて、ものすごい感動したんです。あれは一生忘れないシーンになったんですけど、あの瞬間には、多分、舞台の神様が降りた、降りてる瞬間だと思います。

名古屋
ペーパーズを一枚拾って、そこから喋り出してるんじゃないかな?なんとなくそんな記憶がある。恐らくジョージさんが、自分から喋り始めるんじゃくて、ペーパーズに書かれた言葉から始まってる。
りょーちん
そんなつもりや意図もなく喋り始めたから…
ふと涙が出てきた(笑)
ヒロシ
あれはすごい即興、舞台としてもすごいし、「アレを活かそう!」って関わり合っていったのが、結果よかったと思うんです。あの始まりは、大きな波が来ていて、すげえいい瞬間だって思ったんですよ。僕は多分マニアックな人間で、そういう時に「サーフィンのいい波が来たぞ」みたいな、あの時にすごいワクワクがあって(笑)話が全然ズレちゃうかもしれないですけど、伏原さんは撮影をしている時に「個人的にこれ超楽しいわー」っていうのはありますか?もしかしたら、他人から見たら「変態的だね」と思われるかもしれないんですけど(笑)
人生フルーツから離れてしまうかもしれませんが「個人的に好きなことの話」をしたいと思いまして。僕は即興でやりとりをしている時の、お互いがお互いの「ああ、それで来たのね」というのに合わせていく時の様がすごく好きなんです。
伏原さん
英子さんなんか、大抵、カメラのフレームにうまく収まらないというか(笑)こっちはこういう風に動いてほしいとか、こういう舞台の中でこう動いてほしいとか、こういうことを言ってほしいっていうのを思ったりとかするんですけど、英子さんが喋ると必ず前に柱があるとか、カメラを持って後ろから付いていくと「ガチャン」て扉を閉められちゃうとか。そういうちょっと、なんて言うんですかね。逆の意味の「天才的」というか(笑)
全体
(笑)

名古屋
引いた目でみたらコメディですよね(笑)
伏原さん
そうですそうです!完全にそうなんです(笑)
名古屋
カメラマンも含めた全部を観るとドリフの世界
伏原さん
そうです。ご飯を撮っていると、片付けちゃう(笑)
全体
(笑)
ちょ!ちょーいー!みたいな。
伏原さん
ちょ!ちょ!撮ってるんですけどー!みたいな(笑)なんか、いい意味でも悪い意味でも、カメラを意識しなさすぎる人なんですけど、でも、あの水瓶が割れた時とか、おぉ!!女優みたいなことを言ったりとか、こんな良いこと言うんだ、みたいなとか。あれは一連で「わぁ!すごいな」って思いましたし、最後の方で、外を見つめているシーンがあるんですが、なかなか黙って座って撮れない人なんですけど、本当にそれも女優みたいな顔して外を見られていたりとか、ああいう時に、一体感だったなって感じたりはしますけどね。
さっきおっしゃっていた「共犯者」の感覚ですね、分かるわ〜。今、本当にドキュメンタリー映画としてもピタッてハマったりする瞬間。
名古屋
障害物が何もない画角に、綺麗に入って、ホロッと出た言葉が台詞みたいな言葉だったりとか。
伏原さん
そうですね。
渡・名古屋
ん〜(想像して嚙みしめる)
名古屋
どうなんですかね?修一さんと英子さん、撮影されることで、女優さんと俳優さんになっていったとかもあるんですかね?
伏原さん
恐らくこの2人はそんなにない気がするんです。けど、完全になっちゃうような現場もあります。正に、ありのままを撮って「その人の素」を撮るのがひとつだとすると、カメラを携えて何度も通っていることによって、相手も思っていないような「もの」がビュって出てきたり。普段問いかけられることってないじゃないですか?例えば「伏原さん何故この仕事をしているんですか?」みないなことって普段聞かれないし、自分も自問自答しながらはしてないんですけど、カメラ向けられると、多分そういうことが入ってきちゃうので、そういうような時は、完全にもう向こうは「素」ではないんですよね。
名古屋
なにか一個被ってしまう。
当たり前に影響があるってことですよね。人がいて、カメラが回っているってことだから。

名古屋
うん。だからこそ、この「人生フルーツ」はすごいんだよね。
うん。
伏原さん
だから、よく小っちゃいデジカメで撮ると、素顔が撮れる、素が撮れるっていうことは言うし、実際そうなんです。でも、やっぱりある程度ドシッとしたカメラを据えてやると、違う。更に違うものが出てくる時があって、中身が出てきちゃうみたいな時があって。それはやっぱり面白いなって思いますね。相手も覚悟するんですよ。

伏原監督から見た「ロクディム」とは?

ヒロシ
僕はこれまでいろいろな人に個人的にインタビューをしてまして。僕は福島の出身ということもあり、ロクディムは東日本大震災の後に福島で活動というか公演をしたんです。それ以降、ロクディムが色んな地方に行くきっかけでもあったということもありまして。
ロクディム Japan Tour Project ビジュアル

ロクディム Japan Tour Project
いつもの場所をあっという間に「笑い溢れるコメディ空間」に。
2011年6月7月と福島で公演を実施。その経験から、地域や場所や設備を問わず、フットワーク軽く日本各地へ即興の笑顔を届けるプロジェクトを実施しています。

ヒロシ
そういうことがって、いろいろな人にインタビューしてロクディムのことを聞いたんです。「ロクディムってどんな存在でしたか?」ってお聞きしたら、そしたらいろんな答えが返ってきて(笑)あの、「肝油」ってご存知ですか?
伏原さん
あっ、はい。肝油ドロップ。
ヒロシ
「ロクディムは肝油ですね!」って答えてくれた方がいたり
ロクディム
(ちょっとざわつく)
カワイ 肝油ドロップ

カワイ 肝油ドロップ
商品特徴:カワイ肝油ドロップSは肝油の主成分として知られるビタミンADが配合されております。水なしでかんで服用できるバナナ風味のゼリー状ドロップ剤ですので、どなたにでも服用しやすくなっております。[公式Webサイトより]

ヒロシ
(ロクディムへ)僕よりも年上の方なんだけど「懐かしい」んだって。でも食べると次、また食べたくなるんだって。
伏原さん
あーうまいこと言う人がいる(笑)
ヒロシ
(笑)そう、うまいこと言ってくれた方がいてですね。このフリから多分そうだろうと思われるんですけど(笑)ロクディムを大須演芸場で観ていただいて、ロクディムってどんな存在か、あえて一言で形容するとしたら何でしょうか?
伏原さん
なんですかね…

ヒロシ
本当になんでも(笑)僕たちもメンバーでも、きっと一人一人違うんですよ。ロクディムってこうだよねってのが。
あなたにとってロクディムって。多分メンバー内でもバラバラ。
ヒロシ
全然違うと思うので。今、思い付いたもので結構です。
伏原さん
僕「これでいいのだ!」って言葉好きなんですけど。
ヒロシ
はい!
伏原さん
ロクディムは「これでいいのだ!」の中に入っていて。「これでいいのだ!」っていうのは、天才バカボンの言葉ですけども、なんか色々考えた挙句、「これでいいのだ!」って思ったりとか。
ヒロシ
えー!それはすごい!すごいですね。
伏原さん
まぁやっぱり、なんとかなっていったりするし、で、なんていうのかな、そういう抜け感があったりとか。
ヒロシ
抜け感(笑)
伏原さん
あとはなんて言うのかな、そういう、軽いように見えて、重いように見えて、僕はなるべく「これでいいのだ!」と思うようにしているんですけど、そういう感じがすごくあったなっていう。はい。
ヒロシ
ありがとうございます。
ロクディム
ありがとうございます。
ヒロシ
あーすごい!聞いて良かった!勇気出して良かったー!
一同
(笑)
伏原さん
余談なんですけども、僕この人生フルーツの時に、新聞の取材の時に希林さんとご一緒して、で、希林さんが「監督はどういう人ですか?」ってインタビュアーに聞かれたら「この人はねー本当に才能がないのよー」っていきなり言ったんですよ(笑)
ロクディム
えーーー!!
伏原さん
でも「こういうのは中途半端に才能があると、その人の「我」がすごい出てしまって、色々塗りたくってしまってろくなもんにならない。けど、この人はそういうのないから、素直に出来るんだよ」みたいなことをおっしゃられて、で、その時に「あっ!これでいいのだ!」なんですけども。自分自体も、この仕事をしている時に、そもそもテレビ局に入る時に、もっと自分に才能や表現する方法があれば、会社に入らず自分で表現活動したと思うんですけど、まぁないから、ある人を出したりとか、そういう人を取材したりとか、そういうところで表現出来ればいいなって、元々そういう風に思っていたので。やっぱり今回も、自分がものすごく伝えたいっていうのがあるっていうよりも「この人たちいいよね」って所から入っているので。希林さんのおっしゃることは正に自分の原点で。だから自分は「こーしたい!」「あーしたい!」ってよりも、ただあるものを出していくことの方が大切っていうか。なるべくそういう風に思うんです。

ありがとうございます。すごい!この作品の核心というかなんというか。
伏原さん
いえいえ。
「これでいいのだ!」ですよね。
伏原さん
これでいいのだ。
名古屋
いい言葉だね。
伏原さん
いい言葉ですよ。
全てを肯定するいい言葉。
ヒロシ
そうですね。
いやーすごい!今日はありがとうございます。
ヒロシ
ありがとうございます。あっ、お酒とか飲まれるんですか?
伏原さん
僕は飲めないんですよ。実は。
ヒロシ
あっ、そうなんですね。じゃー是非今度チャイとか飲みながら。
伏原さん
是非。
ヒロシ
今後とも宜しくお願いいたします。
ロクディム
よろしくお願いします。
伏原さん
よろしくお願いします。

ロクディム Japan Tour Project in 名古屋「@大須演芸場 2DAYS」チケット発売中
2017年11月18日・19日

伏原監督も観た「大須演芸場」でのロクディムライブ。今年も開催が決定!今年はなんと2DAYS!吉田ジョージさんを再びゲストに迎え、前回を超えるライブをお送りいたしますっ。是非お越しくだせいませ。

© ロクディム:6-dim+|即興芝居×即興コメディ|この瞬間を一緒に笑おう