1978年11月15日、坂本龍馬没後のちょうど111年後に奄美大島で生まれる。
生後すぐに兵庫県で育つ。
関西弁と思っていた親の言葉は実は奄美大島の方言と気づくのに10年ほどかかる。
赤毛天パで色白で太っている闇の小学校時代。
ジェームス・ディーンに憧れ、1日中ポケットに手をつっこみ上目づかいで無口で過ごした中学校時代。友達がほとんどできず、当時女子から影で呼ばれていたあだ名は「ハンド・イン・ポケット・ケツポッコリン」だった。
高2、突然闇を抜け出す。生徒会副会長に就任。学校を盛り上げる。
高校卒業後「もっと広い世界へ!」と決心し脱藩。東京へ。
司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を読み、坂本龍馬の生まれた日(死んだ日でもある)が同じであるだけでなく、身長、体重、髪質まで同じであることを知り、いよいよ生まれ変わりと盲信し、完読後3ヶ月ほど完全なるエセ高知弁を喋る。
30歳になる直前に「自分にとって海援隊とは何か?」と考え、気の合う仲間を集めてロクディムを結成。
「日本を洗濯するぜよ」と言ってメンバー3人(全員AB型)から失笑される。初めての挫折を味わう。
薩摩も長州もどこもかしこも同盟するのがこれからの時代に必要ぜよ。世界中の人々が一緒に笑い合える世界を。との思いで、
「この瞬間を一緒に笑おう」というスローガンを作る。(本当はカタヨセヒロシが作った言葉だが改ざんしようと考えている)
2017年。自分にとって大政奉還とは何か?と考える。
考えに考えた結果。
皆の笑い声を日本のコメディアンを輩出し続けた浅草に還すことだと悟る。
奉還するため現在も奔走中。
LIVE後(大政奉還後)は
「散切り天パを叩けばロクディム維新の音がする。皆、次は世界のロクディムでもやりますかな」
と言うセリフを言う予定。言った後メンバーが失笑するか、6人が笑って「浅草六笑」が完成するかは今どれだけ奔走するかにかかっている。
奔走している様子は新コンテンツ「ワタリの雑談」で読んでみてください。
僕は福島県いわき市出身だ。
僕が子どもの頃、両親はいわき演劇鑑賞会の会員だった(現在も会員だけど)。
演劇鑑賞会は、色々な演劇団体を招聘し「上演&観劇」する会で、父は運営側にも多少関わっていたようだ。
その頃の記憶で印象に残っているものがある。
母親が、僕たち兄弟(僕は男3兄弟)に「今日は演劇鑑賞会だからね」と言って、出かける準備をさせて車に乗せる。勿論両親も一緒だ。
会場となる平(たいら)市民会館に着くと、僕たち兄弟は和室に連れて行かれる。(平市民会館は老朽化と音響設備の充実のために建て替えられ、今ではいわきアリオスとなっている・平成21年グランドオープン)
和室では僕たち兄弟と同じぐらいの年齢の子供たち(幼児や児童)が何人かいて、その真ん中にエプロンをつけた優しそうなお姉さんがいて、僕たち兄弟を見てにっこり笑う。
「はい、よく来たねえ、お名前は?」
僕はなんだか恥ずかしくなってしまい、兄の後ろでモジモジしている。ここは大人が演劇を見ている間に子どもを預かる「託児室」だった。公演時間は2時間から長い時で3時間だったように記憶している。途中休憩があることも多く、その場合は1部2部と分かれて上演していた。
託児室に預けられた僕は、はじめは恥ずかしくて「うん」としか言わなかったが、次第に雰囲気にも慣れて、優しいお姉さんに甘えたり、好きなのに「嫌い」と言って天邪鬼になったり、畳を全速疾走して滑って転んだりしていた。
上演が一段落し、休憩に入る時は、ブザーとアナウンスで放送するので子どもたちも分かるようになっていた。僕は和室から抜け出して、ロビーへ行っていた。
ロビーは毛の長い赤絨毯で歩くと少しふわふわした。これは本当にそうだったのか、思い出補正がかかっているのかよくわからないけれど、少なくとも僕はそう記憶している。
大人たちが一気にロビーに出てくる。
煙草を吸いに喫煙所に行く男たち。
自動販売機でジュースを買う女たち。
ロビーの椅子に座って、握ってきたおにぎりを食べるおじいさんおばあさん。
井戸端会議のように小さな円陣を組んで最近の近況を報告しあう人々。
話し声、笑い声、観劇のこれまでの感想などでロビーは一気に賑やかになる。
そんな中、僕は母親を探す。母親を見つけると、自動販売機のジュースをねだり、ハイシーのリンゴジュースを買ってもらう。そうこうしていると2部が始まるアナウンスが入り、ブザーが鳴る。
母親は「和室に戻るんだよ」と行って会場の中へ姿を消す。大人たちは次第に会場へ戻って行く。本ベルが「びー」っと鳴り、一気にロビーは沈黙に包まれる。
さっきまでの賑わいが一瞬にしてなくなったロビーでぽつり、この世界に自分だけが取り残されたような感じがした僕はひとりで赤い絨毯を歩く。階段を登ったり降りたりするけど、誰もいないロビーがなんだか怖くなって和室へ走って戻る。
和室では、子どもたちの遊ぶ声であふれていて、エプロンのお姉さんがにっこり笑って「どこ行ってたのー」と頭を撫でる。僕は嬉しくなって、また、遊び始める。
そうこうしていると演劇が終わったアナウンスが流れてくる。
子どもを預けた親たちが子どもを迎えに和室へ来る。僕の母親も迎えに来るのだが、なぜか外へ向かわず会場の中へと僕たちを連れていく。本番中は中に入れなかった僕たちは、終演後に中に入れるのだ。
舞台上は既に幕が上がっていて、裸の舞台になっていた。大人たちがTシャツのそでをまくり、軍手をはめた手に金槌や釘抜きを持って、どんどんどん、ばたん、ばたん、と木材を運んでいく。そう、舞台セットの解体(バラシ)が行われていた。
僕はそのバラシを見るのが好きだった。大人たちがテキパキ動くのも面白かったし、セットが解体されていく様が非日常で興味深かったのだと思う。父親が演劇鑑賞会の仲間たちと一緒になって、劇団の方のバラシの手伝いを「楽しそうに」しているのを見るのもなんだか楽しかった。
バラシが一段落すると、大人たちは「おつかれさまでした!」と大声を出して、一礼する。これを合図に僕たちは車に乗せられ両親とともに家へ帰る。この日は普段よりも夜更かしになるので僕たち兄弟は車の中で寝てしまうことも多かった。
なぜロクディムをやっているのか?と聞かれる中で「どうして演劇を?」と聞かれることもある。
はじめの頃はうまく説明できなかったのだけど、ある時このエピソードを思い出して「そういえば子どもの頃にこういうことがあったんです」と話したら、「それが演劇の原体験なんですね」と言われ、そうかもしれないし、そんな大層なものじゃないかもしないし、と思った。
でも僕は、確かにそういう風景を覚えている。
本番中のロビーの静けさ。
ときおり会場の中から聞こえてくる笑い声。
休憩時のロビーの賑やかさ。
会場へ戻る人の背中。
舞台が終わり目元をハンカチで抑えながら帰っていく人たち。
日常と非日常。
虚構と現実。
それらのバラシの楽しさと神秘。
ロクディムの即興は「バラシ」に似ているのかもしれない。
ロクディムが今回挑戦する「全ての演目・タイトルをお客さんと一緒に決める、あなたとしか創り得ない即興芝居×即興コメディ」は、舞台と客席を行き来するような浮遊感、舞台が現実なのか現実が舞台なのかわからなくなる目眩感、舞台にも客席にもどこでも物語は溢れている、そんな想いから生まれた。
そんな今公演が終わった後、僕はこう言うだろう。
「お帰りの際はお忘れ物のないようお帰り下さい。また、忘れていたあの想い出を思い出された方はせっかくですのでお持ち帰りください。忘れたい過去や捨てたい思いは、会場外のロビーに置いていってください。明日から始まる新しい物語がよりよい物語でありますように」
「1日の中で、何回笑いましたか?」
今回の東京単独ライブのタイトルは『浅草六笑』。
ロクディム『六』人と一緒に『笑』おう。今回のタイトルにはそんな意味がある気がしています。
仕事や、家庭。毎日の生活の中で、『なにも考えずに、お腹を抱えて笑う』。そんな時間はどれだけありますか?
僕は、いざ自分の生活を振り返ってみると……少ない。
実は、そんなにないのかもしれません。
「お腹を抱える」ほどでなくても、誰かと笑い合える時間が、1日に1回でも2回でもあったらとっても幸せなことだと思うんです。
子どもと戯れて笑いあったり、仕事先で笑いが出たり。
ほんの少しの『笑う』という『ゆるみ』があれば、もうちょっとだけ、人は優しくなれる気がします。まわりの誰かや、自分に対しても。
それは、生きていくうえで、とても大事なことだと僕は思います。
浅草六笑で『笑う』時間を満喫してほしいです。一方的な笑いではなく、一緒にいる中で生まれる温度のある『笑い』を。
ビートたけしさんや、萩本欣一さんや、たくさんの芸人さんが舞台にたち、笑いを生み続けてきた浅草 東洋館で、味わってください。
笑うために作られた空間の中で。
ロクディム『六』人と一緒に『笑』う時間を満喫してください。
ライブが終わった時、きっと僕は言うと思います。
「こんな幸せなライブは他にないね!」と。
ぜひ、会場で体感してください。
気がつけば、メンバーと出会って20年を迎え、ロクディムを結成してそろそろ10年を迎えます。
「この瞬間を一緒に笑おう。」
節目のロクディム。
振り返ってみると、20年という長い時間の中で、それぞれが色々な体験をし・色々な決断をし・前に進み・時には後ろに下がり・時には立ち止まり・時には一緒に悩み・離れ・近づき・近づき過ぎ・また離れたりと様々な変化をしながらこの20年間を過ごしてきた。
そして
20年間、僕たちはよく一緒に笑ってきた。
ロクディムがキーワードとして発してる
「この瞬間を一緒に笑おう。」
というフレーズは僕たちそのものなのかなと思います。
出会って20年
結成して10年
浅草で3年
を迎えた男六人の
「この瞬間を一緒に笑おう。」
を浅草東洋館で!
そこには男六人の笑顔と生き様があるはずです!
そして
ライブ終了後に言います。
『さぁ次はどこで「この瞬間を一緒に笑おう。」か!?』
子どもの頃、粘土細工が好きで、一人で「ドガーン」とか「ギャオオー」とか言いながら自分で作ったキャラクターと物語の中で遊んでいた記憶がある。
それは自分の思い通りにいく自由な世界だった。
それから少しずつ成長するにつれ、いろんな世界、いろんな自由、いろんな人間のいろんな思い通りと接触し、こりゃ、なかなかどうしてこの世界はほとんど自分の想い通りにはいかない仕組みになっているんだねぇということに気付く。
そして、その後出会った即興芝居によって気付いたことは
「思い通りにいかないって笑える」
ということだ。
今回のロクディムライブは「浅草六笑」
六人それぞれの思いがあって、それぞれの思い通りがあって、それが交錯し、どうなるのか……
きっと全ての人の思い通りにはいかないけれど、誰もが思いもよらないことが起き、生まれることでしょう。
そんな瞬間を大いに笑っちゃっていただければと思います。
そして、ライブを終えた後、僕はこう言うでしょう。
「何をやったか、何が起きたのか記憶にない。でもみんなの笑い顔だけは一生忘れない」
一人で空想の中にいることが好きだった、子ども時代。
おかあさんに買ってもらったぬいぐるみたちは、野球グランドにいて、僕のチーム「ラッキー」と弟のチーム「ワンダフル」で対戦していた。
おとうさんに買ってもらったミニカーたちは、何度も何度も渋滞に合い、前の車を追い越すこともできずずっと同じ方向に連なっていた。
小学校時代は、桃太郎の本を脚色して、脚本を書いた。桃太郎は、桃から出てこなかった話だったかもしれない。
中学校時代は、自意識が過剰に目立ち、女の子をとことん意識していた。一日に何度女の子と言葉を交わせたか、放課後に数を数えていた。
高校時代は、サッカー部に所属。補欠からは抜け出させなかったが、試合が始まる時にはレギュラーたちの円陣に呼ばれ、みんながリラックスできる一発芸を毎度やっていた……
時は過ぎ、僕は浅草にいる。
子どもの頃大好きだった、ビートたけしさんや萩本欽一さんも立った舞台、フランス座が前身の「東洋館」に。
「笑い」は素敵だ。
笑い合っていたら、喧嘩は起きないし、きっと戦争も起きない。
世界は、そして日常は平和だ。
大きなことは言えないけど、ロクディムが立つこの東洋館から、たくさん笑いがいっぱいの人に伝わっていけばいいのに。(ああ、大きなこと言っちゃった)
僕らはそのために東洋館の舞台に立つ。
みんなで笑い合うことが素敵だと知っているから、東洋館でみんなで笑い合いたい。
そして、公演を終えた時、みんなで「いっぱい笑ったね」って言い合いたい。
僕らとお客さんと一緒に。
先日実家に帰った時、
「そう言えば、昔もっていたぬいぐるみたちはどこに行ったんだろう」
と急に気になり、仕舞っていた納戸を20年振りかに開いてみた。
そこにはぬいぐるみたちはいなく、主を失った大きなケースはがらんどうだった。
ああ、そうか。僕の空想の中からぬいぐるみたちは出て行って、きっと本物のグランドで野球をしているんだ。
なんだか、そんな姿を想像したら、ふっと笑いがこぼれてしまった。
東京生まれ。蟹座B型。
注目されるのが極端に苦手なくせに、褒められたい症候群持ちの、やっかいな人間。
そのせいか、裏方度の強い「作曲・編曲」を気付くと長年やっています。
ワタリとの劇的な(?)出逢いの後、即興ピアニストという超難関に手探りで挑戦中です。
ロクディム第12回東京単独ライブ「浅草六笑」─あなたと私の秋物語─
【出演】ロクディム(ワタリ、カタヨセヒロシ、りょーちん、小田篤史、名古屋淳、LEE)
小西真理(即興ピアニスト)
【日程】2017年9月16日(土)17日(日)
【時間】開場|18:30 開演|19:00
※ 当日精算の受付は 18:15 から4階ロビーにて行います。場内への入場は 18:30 からとなります
【料金】大人:前売3,000円/当日3,500円
学生(中学〜大学専門):前売2,500円/当日3,000円
小人(3歳~小学生):前売、当日共に1,000円
※全席自由席・おつまみ付き・飲食持ち込み自由
※学生チケットのお客様は当日学生証をご持参下さい
※小人(対象:3歳〜小学生迄)
※会場内は飲食可能、会場には缶ビールの販売も!飲みながら食べながら楽しんで下さい(ゴミは各自で持ち帰り下さい)
【会場】浅草 東洋館 http://www.asakusatoyokan.com
東京都台東区浅草1-43-12
浅草六区交番前(浅草演芸ホール右隣入口)
・つくばエクスプレス「浅草駅」徒歩すぐ
・東京メトロ銀座線「田原町駅」徒歩5分
・東武伊勢崎線「浅草駅」徒歩6分
・都営地下鉄浅草線「浅草駅」徒歩8分
【ビジュアルデザイン】カタヨセヒロシ
【宣伝美術】デザイン事務所スペスタ
【企画・製作・主催】ロクディム・オフィス