なぜ浅草を劇場街にしたいのか?

- カタヨセ
- 僕達の単独ライブ「浅草六笑」のチラシでは、以前の賑やかな浅草の町並みの写真を使ったんですけど。
(2017年9月16日+17日に実施)
- 安田
- はい。
- カタヨセ
- 単純な質問なんですけど、何で浅草六区を「劇場街にしたい」って思ったんですか?僕はそれをすごく「いいな!」と思っているんですが、当時のあの賑わっている時代を「実体験」としては知らないんです。床屋さんの瀬川さんのところで、古写真とかでは見てますけど。
- 安田
- 知らないですよね。
- カタヨセ
- そうなんです。だから、当時の街並みがそうなっていたという資料を見て「いいな!」だけでなく「やろうぜ!」ってなるには、モチベーションというか、未来に対する思いとかがあったと思うんです。
- 安田
- それで言うと、最初は「これだ!すげーっ!」ていうところでスタートして「ここを目指す!」っていう思いで突き進んできました。今もその「初志貫徹」じゃないですけどその思いは当然あります。けど一方で、「人」としてもあるんですね。聞くわけですよ、当時を知っている町の人たちの話を。だから、なんて言うんでしょうね、その責任もあると思っています。
「そこ」を目指しているから応援してくれて、瀬川さんみたいにいろんな情報を教えてくれて、その当時の話をしてくれて、だけど「まあでも、昔みたいにするのは無理かもな」っていう諦めの声もあったりして、っていう町の人たちの期待というか、勝手に期待と思っているんですけど、それに対する責任もあるなとは思っています。それを全うするまでは、やめられない、っていう感覚も自分の中にはありますね。
- カタヨセ
- うんうんうん。
- 安田
- ある意味、その時々で出会った人に「こうしたいんです!」っていう話だけして途中でやめたら嘘ついた話になるじゃないですか。応援してもらったのに。
- 名古屋
- 結果を出さないと。
- 安田
- 「こういうところまで来ましたよ」っていう話はしないといけないと思っているし、すべきだと思っています。10年ぐらいやってきて、亡くなられていく方もいらっしゃって。
- カタヨセ
- そうですか。
- 安田
- はい。そういうこともあるので「協力するよ」って言ってくれた人たちに対する想いもね、ありますよね。まあ、勝手にですけどね。
- 名古屋
- うん。
- 安田
- 勝手に「そこまでは到達しないと」と思っていて、とは言ってもセグラスも会社なので、それを実現するためにはビジネスとして進めないといけない。浅草六区を劇場街にするために自分たちももちろん動くし、大里会長もコンテンツを作ってくれる、そのためには集客をしないとダメだなっていうことで、「後づけ」で旅行会社を作りました。「このためには、こういうのが必要だね。じゃあやるか!」みたいな感じです。
- 小田
- すごい!
- 名古屋
- そのフットワークすごいですね。
- 安田
- という流れで、ここまで来ている感じですね。
- カタヨセ
- 劇場街にするそのためには人を呼ぶ必要があるから、インバウンドを増やそう、っていう事ですよね。
- 安田
- そうです。今までは「発地型」だと言われてきた観光を「着地型」で進めようと。浅草の旅行会社は、浅草に住んでいる人達がお客さんで例えばハワイ旅行のプランを相談するところだったんです。でも僕らは、これからは「浅草にある旅行会社」が「浅草においでよ」と呼ぶ機能が必要だっていうのを、六区を劇場街にするためにはどうしたらいいか?という所から考えてきたんですね。
- カタヨセ
- そこから全て来ているんですね。
- 安田
- そうです。
- カタヨセ
- 面白いですね。
- 安田
- そうこうしてたら、国としてもこれからは「観光立国日本」っていう、そういう力が必要だ、となって。地元から集客をするのが必要だみたいな流れになって、相まって…
- カタヨセ
- 相まってきたんですね。
- 安田
- そう!なんか、後から来る、みたいな。
- ロクディム
- (笑)
- 安田
- 実際、観光庁が2008年にできた時、観光庁の職員の人たちに対して最初の講演会として、大里会長と海老原がしたんですよ。
- ロクディム
- へ〜!
- 安田
- 確か「浅草の取り組み」みたいな。
- カタヨセ
- モデルとして。
- 安田
- 講演をやるなんてね、そうするためにやってきたわけじゃないのにね。
- 全員
- (笑)
- 安田
- そんなこんなもありつつ、これまで出会った人もずっと応援してくれているんです。
- 小田
- うんうん。
- 安田
- っていう流れがあるから、まぁ、そこまで行こうっていう話でもあるし。だけど、何ていうんでしょうね。ここで死ぬとは思ってないんですよ。
- カタヨセ
- 何ですか突然急に?
- 安田
- そこまではやろう!と。だけど、ここ浅草に住んで仕事をしていて、だけど、死ぬまでここにいようという気持ちではなく「ここまでやるぞ!」っていう所まではやろうと。
- 名古屋
- 自分の中で決めているところはあるんですね。
- カタヨセ
- なるほど。
風土としての「風」と「土」と「即興」

- 安田
- ここは「はあ、そうですか」って言って下さい。恥ずかしいので。恥ずかしいので。
- カタヨセ
- あ、はい。
- 安田
- 「風土」なわけです。
- カタヨセ
- え?
- 調
- 風土。
- 安田
- 「風土」なんです、俺の中で。
- 名古屋
- うん。
- 安田
- 「土」になるつもりはない。というより、やっぱりね、浅草に「家」として代々やってきているわけでもないから「土」にはなりえないんです。
- ロクディム
- はい。
- 安田
- だから「風」の一員というか、風を担うべきだというふうに思っていて。風がいろんな種を運んできて、そこで種を落として、実らせて、っていうところの「風」の役割だから、最終的には去っていくというふうに思っているっていうのがあります。
- ロクディム
- …なるほど。
- ケン
- 安田さん…
- 調・大和
- ふふふ
- ケン
- かっこよかったッス!
- カタヨセ
- この仲間感、いいなあ(笑)
- 全員
- (笑)
- ケン
- このセグラスっていう会社は、面白いものが好きな人たちが本当に集まっていて。面白い未来に向けて物事を作っている「過程」が楽しいメンバーで。だからこそ、今まで出会った人たちがみんな応援してくれる。例えばもし、セグラスがリスクを取るのをやめたり、面白いものを作っていくのをストップした瞬間に、その応援はなくなっていくと思うんです。

- ケン
- さっき話に出た「レストランを劇場にする企画ができなくなった」っていう時にどうしたかっていうと、「浅草六区に来て欲しい。来る人を増やそう」という目的が1つあるから、劇場という会場・箱としてのエンターテインメントだけじゃなくて、観光にエンターテインメントを足してみよう!って考えて「バスツアーに乗っていると、突然、侍や忍者が町中に出てくる」とか、そういう「コンテンツ」が「町の中で展開できるんじゃないか」っていうふうにアイディアを広げていくことができた。
そのタイミングで入ってきたのが、浅草の町を国家戦略特区にしようっていう話で。だったら町全体を使ってエンターテインメントができるんじゃないか?っていうふうに、さっき安田さんが言ってたとおり、行き当たりばったりじゃないですけど、どんどんどんどん「こうなったから、じゃあこうしてみようよ」っていう感じで選択をして、成長してきたんだろうなっていうふうに思ってるので、ある意味、ロクディムさんと一緒で、即興ですよね。
- 名古屋
- うんうん。
- ケン
- ここに来たらこうなった、だから、今度はこうしよう、みたいなことをやって成長してきた会社なんだなって。
- 安田
- 素晴らしい。(とお互いを褒め合う)
- 調
- ちょっと両端でやめてもらっていいですか(笑)
- 大和
- やりづらいね(笑)
- 小田
- お互いにね(笑)
- 全員
- (笑)
- ケン
- で、僕が好きなのは「フード」です。
- 全員
- ?
- ケン
- あ、ごめんなさい、食べる「フード」です。
- 全員
- (笑&拍手)
- 安田
- そう、出会いによって、軸あれど、どんどん形は変えていく話なので。
- 名古屋
- 確かに、そう聞いてるとロクディムと近いですね。感覚的に。
- 安田
- そうそうそう。っていう感じだよね。
- 調
- 面白いですね。
- カタヨセ
- 面白いですね。僕らロクディムでは大事なのは「勇気」と「遊びごころ」だって言うんですけど、同じ種類の人達ですよね、セグラスのみなさんも。
- 安田
- そうですね。そういう人じゃないと、ついていけないですよね。
- ロクディム
- (笑)
- 調
- 楽しめないと、ついていけない(笑)
- ケン
- そうそう(笑)
- 調
- 苦しむだけだからね(笑)
- 安田
- 会社の形をなしているけれども、手段で会社になっているっていうだけ。
- カタヨセ
- うんうん。
- 調
- あまり「いわゆるサラリーマン経験」はない、みんなね(笑)
- ケン
- ここ、全員ないんじゃない?(笑)
- 安田
- ていう感じですね(笑)
町における即興性

- 安田
- なんか、ちょっと戻っちゃいますけど、レストラン劇場ができなくなってしまって、オーディションで集めたけど出る場がなくなってしまった出演者から「ストリートパフォーマンスをしたい!」って言われたんですよ。グループを作ったは良いけど、劇場もなければ表現する場がないからって。そこで、初めて地元の人たちとか警察とか行政に「やりたいんだけど!」っていう話をしに行って、ストリートパフォーマンスができるように道路の使用許可とか取ったりしたんです。
- 名古屋
- うん
- 安田
- で、そこでストリートパフォーマンスをしていたら、大道芸人の人が通って、ここで大道芸できないの?って言われたんです。六区で「基本的に」大道芸ができる様な形にしてほしいって。
- 小田
- へ〜!
- 安田
- 大道芸人の人で「俺もやりたい!」って言う人が「たまたま」通らなければ、ストリートパフォーマンスで終わってたいう可能性もあって。
- 小田
- はあ〜。
- 安田
- それで、3年〜5年ぐらいですかね、六区で大道芸ができるようにしました。仕事で地方に行った時も「浅草といえば大道芸やってるとこだよね」みたいな。昔の六区じゃなくて今の六区をちゃんと言ってくれる人がいたりするんです。今は行政特区の関係で常時はやってないんですけど。
- 小田
- へえ〜。
- 安田
- ああ、そうなんだ!と思いましたね。だから、その時の出会い出会いで、やっぱり即興ですよね。
- 小田
- すごいね。漫画みたいっていうかすごろくみたいっていうか。
- カタヨセ
- ドラクエみたいだね。
- 全員
- (笑)
- 小田
- たまたま、そこで出会った。
- 調
- たまたま会ったんですもんね。
- 安田
- そうですよね。
- 小田
- え〜!すごい
- 大和
- そう考えると、パフォーマーとしても良いですね。夢が叶えられる、できる場所があるっていうのは。
- 名古屋
- そうですよね、そんなに多くはないですからね、やりたいって言っても動いてくれる方がいなかったらね。多くの地区では、そうやってオープンな感じで「やっていいですよ」っていうのはなかなか通らないですよね。
- 安田
- だから、なんか、その辺も今の話のベースがあると「やりたいんですけど」っていうお話が来た時に、なんかそういう風に動くっていうのが、まあ、そうだよねって感じですよね。
- カタヨセ
- そうですね。納得です!
─続きます─