セグラスという会社について

- カタヨセ
- 安田さんを紹介していただいた頃は安田さんが何者なのかが分からなくて(笑)
少しして、どうやら「セグラス」という会社の方でどうやら浅草のエンターテインメントや観光などに関わっているらしいということが分かってきました。
- 小田
- 最初はあんまり分かってなかったんだよね(笑)
- カタヨセ
- そうそう(笑)
そして、今でも正直なところ「セグラス」がどういう会社なのかあまりよく分かっていません。すいません(笑)
- 全員
- (笑)
- カタヨセ
- ですので、この場を借りて、改めてどういう会社なのか教えていただけますか?
- 安田
- はい。たまたまたウチの代表・海老原が、僕と同い年なんですけど、学生の時に会社を立ち上げました。17年前ですかね。で、その頃「ITがでだした!」っていう頃で、ITっていえば、まあ、西側じゃないですか。
- カタヨセ
- 西海岸、シリコンバレーってことですか?
- 安田
- いや。渋谷っていう。
- 全員
- (笑)
- カタヨセ
- なるほど。
- 調
- イメージ的に。
- 名古屋
- 渋谷とか新宿とか。
- 安田
- そうそう、多分、基本的に事務所や本店はそっちにあると思うんです。でも、ウチの代表は学生団体をしていて、会社を立ち上げるっていう時に、「何屋さんをやろう」と会社を作ったわけじゃなくて、ある「夢」を「目標」に立てて「こんな世界を作れたらいいね!その実現のためには会社をつくろう!」みたいな話で作ったんです。
だから、専門的に何屋さんをするためのメンバーもいなくて「我々はITに強いわけじゃないから渋谷の反対側で会社を作ろう!」が浅草だったっていう。
- 名古屋
- うん。
- カタヨセ
- 反対側?
- 安田
- 銀座線の反対側…
- 小田
- ああ、なるほどなるほど!真反対で。
- カタヨセ
- ああ!
- 調
- けっこう単純です(笑)
- 安田
- 渋谷が銀座線の終点始発じゃないですか。逆側は浅草が終点始発。だから浅草に会社を作ったっていう、本店登記をしたっていうところからが始まりです。
- ロクディム
- へ〜!

そこから会社の歩みを教えていただきました。
笑いあり、苦労あり、涙あり、脱線笑い話ありの膨大な物語だったのでざっくりとですがまとめさせていただきました。
- もともと浅草に本店を構えながらも浅草とは関係ない仕事をしていた。
- その頃は浅草の人たちのことも町のこともあまり知らなかった。
- 11、12年ぐらい前に「浅草六区」の存在を知り、劇場街として賑わっていたことに衝撃を受けた。
- 安田さんご自身は会社の立ち上げメンバーではなく、1.5期生みたいな感じで、会社登記したすぐの頃にとある縁で代表・海老原さんと知り合い、大学・大学院に行きながらセグラスに関わりつつ建築を勉強していた。特に「まちづくり」とか「建築」に興味があった。
- その頃に浅草六区のことを知り、修士設計や修士論文を「浅草六区を劇場街にしたら」とした。テーマは「六区の再生」
- その頃、とあるご縁で、代表の海老原さんが芸能プロダクション「アミューズ」の大里会長とお会いする機会があり、「浅草六区をこうしたい!」という話を熱く熱くしたところ、大里会長が賛同してくれ、色々な経緯や出来事、物語があって今に至っている
- 安田
- 大里会長は青森のご出身で、東北は上野が起点終点。だから当然、浅草も当時の浅草六区の活況ぶりを知っていらっしゃった。例えば韓国には「大学路(テハンノ)」があって、アメリカ・NYには「ブロードウェイ」があって、ロンドンには「ウエスト・エンド」があるけど、今の日本にはそういった劇場街がないこともあり「日本に劇場街を作ろう!浅草六区を劇場街に!」ということに賛同してくれたという経緯もあります。
- カタヨセ
- はあ〜、なるほど。
- 小田
- そういう経緯があったんですね。
- 名古屋
- すごい、想像以上の大きな話でちょっとびっくりしました!

- 安田
- そこでまず、セグラスは浅草六区の土地・建物を思いっきり借金をして買いました。これは、浅草六区ブロードウェイ商店街の一員、浅草の町の人間になるということでした。まずはきちんと浅草に居を構えて、そこから六区を劇場街にしようと動こうと。
- ロクディム
- なるほど〜!
- カタヨセ
- 浅草の外からではなく、内に入ったということですね。
- 安田
- そうですそうです。それから色々なことに挑戦していくのですが、うまくいくこともあれば、当然うまくいかないこともあって、レストランを劇場にしよう!という企画があったんです。
- カタヨセ
- おお!
- 安田
- その当時に集まった出演者が彼らなんです(調、ケン、大和)
- ロクディム
- ええ〜!?
- 小田
- そうなんですか!?
- 3人
- はい(笑)
- 安田
- 他にも、シルク・ド・ソレイユにいって活躍している人もいるし、虎姫一座のメンバーになって活躍している子もいる。
- 小田
- それで何年ぐらい前なんですか?
- ケン
- 4、5年ぐらい前ですかね?
- 安田
- 5年ぐらい?
- 調
- 5年ぐらいですね。
- 名古屋
- 2012年とか。
- ケン
- そうですそうです。スカイツリーができた後でしたね。(2012年5月22日開業)
- カタヨセ
- ドラマチックですね(笑)
- 調・大和
- そうですね(笑)
- ケン
- 漫画みたいな話、いっぱいありますよ(笑)
- ロクディム
- (笑)
セグラス(というか安田さん)が浅草の町に溶け込めた理由

- ケン
- 僕たちが居ない時期の話が出たので、この場を借りて安田さんに質問したいんですけど。
- ロクディム
- おお!
- ケン
- セグラスが浅草にできて、町に溶け込んでいったのって、いくつかきっかけがあると思っていて。まずはその、さっき安田さんが言っていた「思いっきり借金をして土地・建物を買った」こと。つまり「リスクを負った」こと。それで「町の一員になれた」というのもひとつあると思うんですけど、もうひとつが「パンダバス」。浅草の町を無料循環しているパンダバスを走らせ始めたこと。
- 名古屋
- うん。
- ケン
- 花やしきの広告が「どん!」と載ってるんで、最初は花やしきのバスだと思われていたみたいなんですけど、どこからか「セグラスがやっているらしい」という話になり、町のドンの方から、
- カタヨセ
- 町のドン!
- ケン
- 町の中心にいらっしゃる方という意味ですね(笑)その方から「何でそんなことをやっているんだ?」と聞かれて、それに対して「実はこういうことをやりたくて」って説明をしたら受け入れてもらえた、っていうのが、きっかけとしてあるんだと思うんです。
- 小田
- はいはい。
- ケン
- 何で安田さんは、そんなに町の中に溶け込めていけたんですか?
- 小田
- 確かに!
- ケン
- ひとりで。凄いじゃないですか?
- 安田
- …何でですかねえ?
- 全員
- (笑)
- 安田
- いや、もともと、そういう気持ちがあったというか。あの、自分の話をして良いですかね?
- カタヨセ
- はいどうぞ!
- 名古屋
- して下さい!
安田さんの話

- 安田
- 自分は大学で建築をやっていて、大体の同期達は建築家になっていくわけです。だけど、その時、悶々としていたんですよ。建築家に疑問を持ったんです。行き着く先がそれで良いのか?みたいな。っていうのは、建築家って基本、誰かのお金を使って、芸術家気取りで社会を語ったりするわけですよ。
- 名古屋
- まあ、お仕事ですからね。自分でお金を出して建てはしないですからね。
- 安田
- そういうことに「当時の自分」は「ちっちゃいな」って思ったんですよ。何ていうか、まず、そこに住む「人」というか「町」というか、そういう「前提条件」の所から知らないといけない、知るべきだと思ったんです。
- 名古屋
- うんうん。
- 安田
- 町の人たちがどう考えていて、その結果、要件が出て、建築家に依頼しているっていうのが流れじゃないですか。だからその「前提」のところを知らなくちゃっていう気持ちになっていて、そんな悶々としている中で海老原に会って、海老原の「こうしたい!」っていう話が、悶々としている自分にぴったり合ったんですよ。
丁度「会社を立ち上げた」くらいの時で、いろいろ話をしていく中で、自分が悶々としてたところというか、欠けていたところが、うまく埋まった感じがしたんですね。
その「経緯」と「前提」があるので、自分としても町の人たちのことをまず知ろうというか、可愛がってもらいながら「自分にとっての本質のところ」を知ろうという欲求があったから、いろんなことを教えてもらう機会に連れて行ってもらったり、場に出させてもらったりとかして、この浅草の文化を知るわけです。「ああ、浅草ってこうなんだ」みたいな。
- カタヨセ
- その、床屋の瀬川さんでお聞きした安田さんの話があるんですけど、安田さんが初めてその床屋さんに来て、髪を切った後、待合席の椅子に座って何時間も浅草の街の本を読んでたんですよ〜、って。笑いながら聞かせてくれました(笑)
- 安田
- 知ろう!っていう欲求が(笑)
- ロクディム
- (笑)
- 小田
- 本当に知りたくて読んでいた
- 安田
- そうそうそう。あれ、これ、大学院の時に結構探したけどなかった!とか。
- 全員
- ああ〜。
- 安田
- っていうのが、ここにあるんだ!やべえ!みたいな。この当時の写真、知らねえし!見てねえし!みたいな(笑)
- 小田
- へ〜。
- カタヨセ
- そうそう、古写真とかね。
- 名古屋
- 地元の人しか持っていないようなものが。
- 安田
- そう!なぜ瀬川さんのところに行ったかっていうと、たまたま、元々事務所があったところの向かいの床屋さんだったから。
- カタヨセ
- あ、そうなんですね。
- 安田
- 今、駐車場になってますけど。なんの気なしに行ってみたら、他の人達も浅草の町の人達もけっこう来てるんだなってことを知りましたね。
- カタヨセ
- 僕も負けてられないと思って、3時間ぐらい読んでたもん本。最初に行った時。
- 全員
- (笑)
- 名古屋
- 髪を切り終わった後に読んでるってこと?
- カタヨセ
- そうだよ。終わった後に読んでるの。だから、読んでる間にお客さんが来て、髪を切って、帰っていくのを見送るみたいな(笑)
- 全員
- (笑)
- 小田
- この人なんなんだろうな?って思うよね(笑)
- 調
- 不思議ですよね(笑)
- 名古屋
- 図書館みたいな使い方になってるじゃん。
- 安田
- 他にもこういうのもあるよみたいな感じで、出してくれるんですよ。
- カタヨセ
- そうそう「あの本もあったよね」って言って、お父さんが取りに行ってくれたりもするんですよ。
- 安田
- そうそうそう。
- 小田
- へ〜、すごいね。
- 名古屋
- 完全に髪を切ることが目的じゃなくなってる
- 調
- へ〜。
- ケン
- 確かに。
- 全員
- (笑)
- 安田
- 完全にそうですね(笑)
- カタヨセ
- 今、三社祭の古いビデオ、撮ったのあるから持っていきな、って言って、今借りてるんです。Hi8みたいなテープの。
- 全員
- ええ〜!(笑)
- 調
- ちょっと見たい!
- 大和
- 見たい!
- ケン
- それはすごい。
- 小田
- それは面白いね
- カタヨセ
- 浅草に興味があるんだったら、これもあるよ、って教えてくれるんですよね。それが嬉しくて。
- 安田
- そうですね。
- 名古屋
- 安田さんのそういう話を聞いてて、建築っていう建物があったとして、建物って集合体にしたら町じゃないですか。そこの逆算からやっていったら、やっぱり人につながっていくんだなって思いました。
- 安田
- そう、そう、そう、そうっすね。
- 名古屋
- だから人と繋がることが大事で、ゆくゆくはそれが、安田さんの言う、劇場のある町になっていくっていうことなんだろうな、と思って聞いてました。興味深いですね。
- 安田
- 修士論文でも、建築の論文なのに、結論としては「人だ」っていう結論づけたのを思い出しました。
- 全員
- (笑)
- 名古屋
- だからバイタリティがすごいんだなと納得しました(笑)
- 安田
- だから、まあ、そういう選択をしてきて、結果、その時には想像もしていない、勝手に想像はしてましたけど、今、こうなっている!っていうことですね。まだまだ途中ですけど。
- 名古屋
- うんうん。
- 安田
- だから、なんて言うですかね。紙一重っていうか、綱渡りっていうか。今ここにいる時点でも、奇跡なんだと思っていて。いろんな出会いが、人との出会いが繋がって繋がって繋がって、本当に今があるっていう、感じ。
(大声で)なう!進行中みたいな。
- カタヨセ
- びっくりした(笑)
- 名古屋
- 急に英語が来たから
- 全員
- (笑)
- 安田
- 「now!」っていうね(笑)
- 名古屋
- そこの部分はぶれてないんですか、今?
- 安田
- ぶれてないですね。相変わらずです。なんですけど、役割として、この5年ぐらいっていうところはちょっと新しくて。「人」でも、「町の人」っていうのと、こっちの「セグラスのメンバー」っていう人と、「ロクディムさんみたいな人」っていうのが必要だっていうところが分かってきた、っていう感じですよね。
- 小田
- うんうん。
- 安田
- その町を形成するには、色んな役割があるじゃないですか。町の歴史を知っている人も必要だし、知らずに「うおりゃあ!」ってする人も必要だし、自分みたいな人も必要だろうし、っていう「色々な人たち」が集まって結局は成立するわけで。鎖国をしたいわけではないし、っていう話だなあとも思っています。まあ、ここのセグラスのメンバーとも出会って、今、一緒にやっていることすらも奇跡だなと思っていて。っていう風に、実は思ってるんですよ(メンバーに向かって)。

- 全員
- (笑)
- 調
- ありがとうございます。
- ケン
- そういうこともたまには言ってくれるんですね。
- 大和
- 嬉しいね

─続きます─