6時限+ はなしの時間 hanashi no jikan

6-dim+ Special Contents “interview”

編集者。ウェブマガジン「tetoteonahama」、オルタナティブスペース「UDOK.」を主宰。

活動名【からみほぐし研究所】として、drawing(線化)による表現造作をおこなう。オルタナティブスペースUDOK.共同主宰。

2012/08/18

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1年ぶりにいわきでおこなったパフォーマンスを振り返ります。丹さんは今回、初めてロクディムを見ました。どんな感想が出てくるのでしょう?

2012/08/19

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徐々に、今回のテーマ「What is "Improvisation"」の話題になっていきます。何がどこまで実際どうなの?一体何なの即興表現って?

2012/08/20

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終わりについて、表現について、自分の軸について、即興表現をする上でのポイントが出てきて『裏切り』という言葉が登場します!

2012/08/21

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「失敗」の捉え方を改めて考えます。りけんさんが「失敗」をイラスト化していったものを見ると、なぜ「失敗」が必要なのかが分かりやすい!新しい!

2012/08/22

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ただ「今、ここにいる」ということの凄さ。そして、過去と未来の話をコラージュ作家・グラフィックデザイナーのkyassabaさんを交えて話します。

2012/08/23

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「What is "improvisation"」最終回。「即興」から「生きる」ことの話にもなっていきました。3人の話しの結末、ぜひ読んでください。

2012/08/22

「5」今と過去と未来 渡猛が話しています。
昔、ヒロシが「コンタクト・インプロビゼーション」即興ダンスのパフォーマンスを見に連れて行ってくれたことがあって。それで衝撃を受けたんですけど。
僕は今までで2回、衝撃を受けたことがって、1回目はその即興ダンスをするおばちゃん、外国のおばちゃん。
2回目は、即興(芝居)をつくったキース・ジョンストンっていう人のワークショップを受けた時が、すごい衝撃だったんです。
りけん
ああ〜。
カタヨセヒロシと(即興ダンスを)見に行った時は、いくつかのコンテンポラリーダンスがばーってやられてて、要は、振付けが決まっているダンスがいくつも続いてあって。最後にそのおばちゃんが、普通な感じで、舞台じゃなくて客席から出て来て。通訳の人引き連れてて、観客に向かって「ハーイ」って言った瞬間に、ぶわ〜って、世界が変わったんです。
りけん
うん、、うん、、
えっ!?って。なんか、圧倒的に、なんかもうそれだけで、全部が表現できている、っていうか。
え〜っ?
即興(芝居)を作ったキース・ジョンストンも、そこにいるだけで、なんか「山」みたいな、「山」とか「海」とかの類いだな、って思ったんです。
りけん
はあ〜、、、
なんか、海とか見てるだけで「はあ〜、海いいなあ」みたいな。
りけん
うん。
別に海は「感動させてやろう!」って思って、海やってるわけじゃないし。
りけん
うんうん!
カタヨセ
あははは。
ただ、そこにいるだけ、みたいな。
りけん
うんうん。
っていうことは、そういう人達って、(図を指して)これが、もう、円がないか、ぶわ〜って包んじゃっていて、
(笑)ないかも。
りけん
う〜ん。
最初っから失敗も何もなく、もう、そこにいるだけで感動してしまうっていうのを、なんか、悟りじゃないけど、剣術を徹底的に極めた人は最終的に剣を置くみたいな、
りけん
ああ〜っ!
剣いらない、っていう段階で「スゲエ」みたいな。
ヒロシ
ふふっ。
りけん
あ〜!(笑)
っていう領域に行っちゃうんだな、って思ったんですよ。
1こ1こ円を大きくしていきながら、最終的に、「ど〜も〜」って舞台に出ただけで、もう、そこで包まれてるみたいな、そういうパフォーマンスってすげえなって思うんですよね。
カタヨセ
うん。
それこそ、なんか「そのもの」っていうか、爆発してるみたいな、感じ。
カタヨセ
うんうん。

と話していると、UDOK. へ「ふんわりやわらか」な雰囲気の女性が入ってきました。

りけん
あ、混ざってもらったら面白いんじゃない?キャッサバさん、どうぞ。
kyassaba
はい。
キャッサバさん、今度、ワークショップ、ねえ、やったりとか。
kyassaba
はい。
りけん
どうぞ。座ってください。
ども〜。
カタヨセ
こんにちは〜。
今度、ウドクで家族展をやるんです。
kyassaba
はい。

キャサバさん:kyassaba

2012年8月5日、11日と UDOK. でおこなった家族展「Windoor」の打ち合わせに来たキャッサバさんでしたが、急遽(想定外に)混ざってもらいました。

りけん
キャッサバさんは、もう、あの、自分でもコラージュの作品を作ったりとかされて。
kyassaba
コラージュと、あとグラフィックデザインを。
即興で、あの、お芝居をしていきますロクディムといいます
kyassaba
あ、昨日、夜明け市場で─
りけん
見た!?見た?
kyassaba
いや、見れなかったです。
りけん
あ〜。
カタヨセ
(頂いた名刺を見ながら)あ、東京なんですね?
kyassaba
はい、でも、実家は福島の伊達なんです。
りけん
絵を描いたり、デザインをしたりする時に「想定外」とか「裏切り」とかそういうキーワードって、こう─
kyassaba
裏切り?、、、裏切り?
りけん
丹くんは自分で絵を描いている時に盛り上がってくると、やっぱ自分で自分を裏切るような作品を作りたいって。
kyassaba
あ〜、、、確かに。、、、そんな感じしますね。
そんな感じしますか?
kyassaba
はい、そんな感じします。
カタヨセ
ほお〜。
りけん
キャッサバさん自身は、作ったりしたりするときは、そういう気持ちってあったり?
kyassaba
その、だから、こういうふうなものを作りたいというふうに、お話を頂いた時に、まあ、ある意味で人を裏切るようなものは作りたいですけど、
りけん
そん時は自分で裏切ってんですか?なんとなく「あたしが作りたいものが出来た」なのか、「あたしって、これ、最初から作りたかったどうかわからないけど、すげえいいものができた」なのか?
kyassaba
あ、コラージュは特にそうですね。
う〜ん。
りけん
コラージュってけっこう即興的な感じだよね。
kyassaba
つくりながら、どんどん物語ができていく感じ。
そうですよね。
kyassaba
最初は、こういう福島の風景を作りたいとか、今回はこういうふうに作りたいと思っても、1こ、紙を選んだ時に、それでもう「紙」がちょっとピンときちゃった、ちょっと違う方向にいっちゃったみたいな。
うんうんうん。
りけん
ここだ!
これだ。
カタヨセ
これだ。
カタヨセ
僕達はタイトルを選んでその場でシーンをやるんですけど。「オヤジ」っていうか「おとうさん」っていうかで、次が変わってくる。
kyassaba
あ〜あ、ちがくなりますよね。
似てるね。
カタヨセ
似てる。
最初の「ひと言」とか、アクションですべてが変わる。
kyassaba
変わる、そうですよね。
りけん
そうなんだねえ。
kyassaba
ライブ・コラージュっていって(UDOK.の壁を指して)コレぐらいの壁でやったりするんですけど。
カタヨセ
へ〜。
kyassaba
そん時も、大体「月と地球」とかテーマ決めるんですけど。
「月と地球」すごいテーマですね。
kyassaba
あははは
りけん
(笑)
壮大な(笑)
kyassaba
けっこう暗いところでやったりすると、ブラックライトで最後、照らすように蛍光色は使おうとか、今は決めてるんですけど、
うんうんうん。
kyassaba
その過程は、もう全然(決めてない)。
りけん
う〜ん。
kyassaba
ふたりでやってるんですけど、相手がやっぱり「貼る」と、それでまた「そこに貼るのか」みたいになって、こっちもまた、
りけん
そうだよねえ。即興ですね。
kyassaba
そう、即興です。相手が持ってくる素材とかも違ってたりするので、
う〜ん。
kyassaba
素材も、当日までは見ない。
あえて、見ない?
kyassaba
はい。
完全に、想定外をつくる。
kyassaba
そうですね。
りけん
あ、そっか!想定外を作るんだ。
そうなると、例えばじゃあ、ある程度やっていくうちに「あ〜、なんとなく、こうなっちゃうな」って思ったら「こっちのほうに貼っちゃえ」とか、
kyassaba
あ、そうなって、一回、白く塗りつぶして、
おお〜。
kyassaba
から、破る、とか。
おわ〜。
一同
(笑)
kyassaba
は、します。
カタヨセ
なるほどね。へえ〜。
kyassaba
ちょっとゴチャゴチャし過ぎて、一緒にやってる相方とこう雰囲気で「ちょっと、どう?」みたいな雰囲気になった時に、白いペンキを出す、
りけん
あ、やっぱ、雰囲気でわかるんだ
カタヨセ
うんうん。
kyassaba
って感じで(笑)
リセットシステム、いいですね。
kyassaba
薄く塗ったり、濃く塗ったりするところがあって、それでまた、
りけん
うん!うん!
kyassaba
さらに上から貼って、からまた破いて、からのまた塗る、みたいなので、また。
うんうん。
りけん
そっか、だから、破いたことがそこに厚みをもたしたりとか。やっぱり、塗ったって、結局はそこに紙、何ミリかの厚みとか、
kyassaba
そうですね。
りけん
そういうのが絶対、後々残ってくるから。それでなんかこう最後の、もしかしたらはじめっから作品さ、きれいなヤツをさ、例えば、いいコラージュが出来たヤツを写真に撮って、それをそのままここ(壁)にペタって貼ったからって、いいわけじゃない。
カタヨセ
うん。
りけん
やっぱり、こう、(ここで)貼ってるその感じとか、動きとか、厚みとか、そういう「ああ、やっちゃえ!」っていうのがあるから、なんか、ある。「厚み」が産まれる。
kyassaba
確かに。その破くことで、アタシ、過去が好きじゃないですか(笑)未来より。1人1人過去がでてくるのが嬉しいっていうのもある。
りけん
あー、破くことで過去がでてくる。
kyassaba
20分前、1回白く塗ったけど。
一同
うんうん。
kyassaba
でもアタシ過去を振り返るタイプなんで(笑)
破くと過去が見えたり「20分前のアタシこれやってた」みたいなのが、見えるのも嬉しいっていう。
カタヨセ
そう、僕たち、全国で色んなところでやろうっていうのがあって、僕が勝手に考えた言葉が一つあるんですけど。
「現在の過去が未来になるんだ」っていう言葉を作ってて。「未来を創ろうね」ってことも大事なんですけど、そうなると想定内になっちゃうので、今わかんないけど、今の一手をお互いが出していって出していって、物語が後ろにできていくじゃないですか。
kyassaba
はい。
カタヨセ
過去しか創れないんです。でもそれが結果的に未来を創ることになるっていう、すごい逆説的なことなんですけど。今お話を聞いてて、それとすごい合ってて、俺も過去振り返るの好きだなって。
好きなんだよな(笑)。
カタヨセ
うん。ほんと。うん。思い出話とかしたい(笑)
kyassaba
思い出話すると、最初はこう普通にあの時ああいうコトしてたよねっていうのが、すごい個人的なマイナーな、自分だけの思い出みたいなのが出てきて、それがデザインとかのアイデアに繋がったりしたりとか。
カタヨセ
あー。
はいはい。
kyassaba
あと、逆に共通点があって、あ、ここの共通点があるから、じゃあ、こういう感じでデザイン化させていったら、皆そういう風に思うかな?とかそういうのもある。
りけん
ふ~~ん!面白いッ。はぁ~。

──続きます:明日公開!──

Jackson Pollock - Reference : http://www.tate.org.uk/

コンタクト・インプロビゼーション
Contact Improvisation

カタヨセが渡を連れて行ったのは2005年、国際舞踊夏期大学の講師陣がおこなったパフォーマンスでした。話に出たのは「コンタクト・インプロビゼーション:初級・中級」クラスの講師「カースティ・シムソン/Kirstie Simpson」のパフォーマンス。カタヨセはこのクラスを受講しカースティの指導を受けていました。この時、渡とカタヨセは「即興で表現すること」の本質を体現している彼女のパフォーマンスを目の当りにして、衝撃を受けたと語っています。

photo(reference) ... http://en.wikipedia.org/wiki/Contact_improvisation

Keith Johnstone - Reference : http://www.keithjohnstone.com/

キース・ジョンストン
Keith Johnstone

これまでに2度来日し、ワークショップをおこなっています(渡とカタヨセは2度ともワークショップに参加しています)。
即興演技(芝居)の父と呼ばれる、即興演技を体系化した人物。様々なスタイルの即興演技(芝居、演劇)がある中で、ロクディムが最も影響を受けているのがキースのスタイルです。著書も多数、詳しくは公式Webサイトをご覧ください。

photo(reference) ... http://www.keithjohnstone.com/

キャッサバさん:kyassaba 佐藤洋美

キャッサバ / 佐藤洋美
kyassaba / Hiromo Sato
デザイナー、コラージュ作家

1985年 福島県出身。多摩美術大学造形表現学部デザイン学科卒業。'08年GRAPH入社。'09年、'10年TDC賞入賞。2011年よりフリーランス。ロゴマーク、ちらし、ポスター、装丁などのデザイン、イラスト、コラージュ、ワークショップなどいろいろします。整理整頓も得意です。また、「おかみさん」のメンバーとして定期的に展覧会を開催。

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