編集者。ウェブマガジン「tetoteonahama」、オルタナティブスペース「UDOK.」を主宰。
活動名【からみほぐし研究所】として、drawing(線化)による表現造作をおこなう。オルタナティブスペースUDOK.共同主宰。
2012/08/23
キャッサバさん、当初の目的を思い出し、丹くんと打ち合わせするべく別なテーブルへ移動していきました。ここからは3人での対談になりました。
- りけん
- ロクディムの面白いところは、即興でありコメディだから、コメディの凄いところって失敗を笑えるっていう。
- 渡
- そうですね~。
- りけん
- でも、本来の、人の人生みたいなものも、言うんだったら、多分失敗を笑えないと、ま、ま、笑おうよっていう、そういうことだったりするじゃないですか。だからワークショップをやった(経験した)人って、多分、劇だけじゃなくて結果的にもしかしたら自分の人生もそうだし、例えば、他の誰かから『アタシ、こういう失敗しちゃったんだ』っていう時に、その失敗を拾い上げてくれる人がいたら、その失敗が失敗じゃなくなるっていう。
- 6ふたり
- うんうん。
- りけん
- でも、誰も手を差し伸べられなかったら、失敗のままだったりするじゃないですか。
だから1つは失敗しちゃった時に、考え方で失敗は失敗じゃないんだよってのを徹底するってさっきおっしゃったのがまず1つと。 - 6ふたり
- うん。
- りけん
- それから、誰かが仲間がその失敗を拾い上げて、「そうだった、これだって良い想い出だったじゃない」みたいに言えるっていう。で、結果的にハッピーで皆笑って幸せだって一番なんか良いじゃないですか。
- 渡
- そうですね。
- りけん
- はじめから、なんか例えばこう、感動を仕立てられるのってあるじゃないですか。例えば今回(東日本大震災)で言えば『頑張ろう』みたいなものとか、例えば、もしかしたらそのなんだろうな、24時間テレビ的な。
- 渡
- もう最後泣くんでしょうっていうのが分かる。
- りけん
- うん。そう持っていくんだよね。じゃなくて、簡単に言っちゃうと「涙あり笑いあり」みたいなのでもないし。なんか、その人の、なんだろうな?
こう、たぶん即興の時って、例えば「ここ」に黒いポイントが落ちた時に、「ここ」にこうくる時の「息づかい」みたいな。あと葛藤だったりとか悩みだったりとか、ここをこう超えて「自分の丸を超えて」つかみにきたんだなっていうその感じって、言葉にできなかったりするじゃないですか。そういうところを、見せるんでもなくて「感じさせる」っていうか。 - 6ふたり
- うんうんうんうん。
- りけん
- 皆一緒になってここを探していくっていう、多分。
- カタヨセ
- うんうん。
- 渡
- そうですね。
- りけん
- だから、お客さんがいなければ成り立たないし。1人じゃ絶対いかないじゃないですか。だから、多分丹くんが難しいのは、1人でキャンパスに向き合っていると、「ここ」がないから失敗した時にぐらいにしかないという。だからいつも「ここ」を「こう」するためにもがいているっていう。でも即興の場合は仲間もいるしお客さんもやっぱりいるしっていう。なんかこう、失敗がないってのが凄く良いですね。
- カタヨセ
- そうそう。
- 渡
- そこのどれを失敗にするかっていう幅が、ね、うちらの中でもやっぱ経験をすればするほど大きくなっていくっていうか。
- りけん
- あー。
- カタヨセ
- うん。
- 渡
- うまくいってないなって思ったら『すいません。もう1回ショーを最初からやり直します』って言っても良いよねっ(笑)
って、いうところまでいかないと。どうしてもショーの中の、この狭いとこでやりくりするけど、でも、もうどうにもならない時がある。 - りけん
- んー!んー!
- 渡
- そうした時に、全部ひっくり返して『おし!もう1回!どーもーからやります!』って言える度胸があるかどうかっていうか。その中であーだこーだってやっても、お客さんも『もういいよ』ってなってたら、ね。
- カタヨセ
- うん。失敗を認めるっていう。
- りけん
- そっか!そっかぁ!。
- カタヨセ
- ことで。
- 渡
- そうそう。認め。それでもう一回『よし!』ってやれる大きさとか強さってのもすごい必要だなって。
- りけん
- うん、うん。
と、カツオをさばいていた川西遼平さんが3人の会話に入ってきます。
- 遼平
- 漫☆画太郎さんがやってましたよね。「地獄甲子園」っていう中で。二十何話か三十何話くらいまでいって『はい。今までのやつなし』って、もう1回(笑)
- 渡
- へー!。
- りけん
- ああ、そうなんだ。
- 遼平
- 「地獄甲子園」ってので。
- りけん
- あったよね。漫画太郎の。
- 渡
- (笑)はい。なしって。
- カタヨセ
- ええーい!だよね(笑)。
- 遼平
- 毎週読ませておいて(笑)
- りけん
- もう本人も、もうどうしようもないって。
- 渡
- もう無理だって。
- 遼平
- そう。最初からじゃなくて、「何話から何話まで」は、なかったことにしてください、ってもう1回やりなおしたんです。
- 渡
- えー!。
- カタヨセ
- すごい。
- りけん
- すげえ。それって、でも、それを受け入れることが人間のなんか、こう問われていることみたいな。例えば失敗したときに『あー失敗した!』じゃなくて、失敗を笑える心の、なんか、みたいな。
- カタヨセ
- うん。
- りけん
- だって、それができれば人間の歩みに失敗っていう文字がホントなくなるわけじゃないですか。失敗って言葉を変えたほうがいい、みたいな。
- カタヨセ
- そうっすねアハハハ。
- 渡
- そうそう。
- りけん
- 失敗じゃなくて成功みたい。成功しかないっていう。
- 渡
- そうそう成功しかない。そうなんだよね。そこにいけると凄く楽っていうか。
- りけん
- 例えばミュージシャンも即興したりするってなった時、そこに初心者の人たちが即興の場に入る時に、例えば、一番最初に「失敗は失敗じゃない」んだ。技術的なことじゃなくて、その考え方だったりとか、考える角度を1回シャッフルするみたいな。そういう方が大事なんすかね?
- カタヨセ
- 大事ですね。
- 渡
- 大事。
- カタヨセ
- すっげえ大事だね。
- 渡
- すっごく大事。
- カタヨセ
- で、すぐリセットされちゃったりするじゃない(笑)
- 渡
- そうね。すぐもとに戻っちゃう。
- りけん
- あー。
- 渡
- 1週間に1回でもダメ。
- りけん
- あ。そうなんですか?。
- 渡
- 1週間やって『すげー!』ってなって、次の日からまた元に戻ってますからね。要は、また自分の社会っていうか生活に戻るとすぐにそれが許されない社会に生きてるから、間違ったら絶対ダメだし、正しくやらないといけないし。で、また戻ってきてデトックスしてみたいなことだから。ん、ん、難しいですよねえ、って思うんですけど、でもやっぱやり続けないといけないし。
- りけん
- んん。
- カタヨセ
- 下手したら、そこがもうクリアできちゃえば、あとはもうどうにでもなるっていうとこに。
- 渡
- そう!それもある。そこが大元なんだよね。その失敗、怖がってしまうその恐怖を、その何重にもあるその恐怖を1枚1枚、剥いでいかないといけないっていう。それは人によって全く違うので。
- りけん
- うん。
- 渡
- 不安をなくしていくってことに終始してる気がしますね。
- りけん
- あと、なんかこう『うまくやろうとする』っていうふうに皆やっぱり感じる考えるじゃないですか。
- カタヨセ
- うんうん。
- りけん
- 上手に、でもその上手って何か?って言ったらなんかこう、今まで観てきたプロの人とか、なんとかみたいなのに、結局マネしようとしてるだけだからそれが果たして表現ですか?っていう風に考えることもできるし。
でも即興の場合は、例えばこのコーヒーを飲む時の仕草だったり「ズズズっ」コーヒーを飲むおじさんの演技をしてくださいってなった時に、普通の一般の人ってこう、うまい演技みたいなのってテレビとか映画とかお芝居とか観てたら皆やっぱあるじゃないですか。 - 渡
- そうですね。
- りけん
- それもやっぱり壊さないといけないのか、それはそれで持ってて良いのか?なんかそういう「良いお芝居」みたいなものっていうのは、なんだろ?こう、さっき言ったように、考え方で「良い芝居をしようとするなっ!」みたいなものってやっぱりあったりするんですか?。
- カタヨセ
- 即興、僕らがやっているのではあります。
- りけん
- ああ。
- カタヨセ
- 良いことしようとすると、まぁそうなっちゃうんですね。単純に。
- 渡
- だから、良い、、、そうそう、うまくやろうとしないっていうのは。
- カタヨセ
- すごくベーシック。
- 渡
- 頑張らない、ベスト尽くさない、うまくやろうとしないっていう今まで習ってきたこととは真逆のことですけど。
- カタヨセ
- うまくやろうとするイコール成功する正解を見つけるになって、本当にこれの対極になっちゃうことが多いんですね。
- 渡
- 何がうまいかってことを決めちゃうと、ね、それ以外は全部ダメ。
- カタヨセ
- そうしないようにしよう。失敗をしないようにしよう。表現って何だろう?ってことに。
- りけん
- うんうん!。
- カタヨセ
- だから今のリケンくんのその「うまくやろうとする。っていうワードはとっても「ここ(自分の表現の枠内)」から影響されている言葉で、すげえ面白いって思った。違う見方で同じことになっているんだって。
- ふたり
- うんうん。
- カタヨセ
- 本当に素晴らしい人間だったら良いんだけど、あなたが本当に素晴らしい人間じゃなかったら、どんなにうまくやろうとしてもうまくないよって(笑)
- 渡
- 素晴らしくないんだもん、本当は(笑)
- カタヨセ
- (笑)ていうことを、即興の芝居のキース・ジョンストンが言ってて、なるほど!
- りけん
- へー!キース・ジョンストン。
- 渡
- キース・ジョンストン。78歳ですね。
- カタヨセ
- あ、70代なんだ。
- 渡
- うん。
- カタヨセ
- へー。
- 渡
- 78か79かな。
- カタヨセ
- うちの義理の父と同じ。
- りけん
- もう1回。
- カタヨセ
- あ、はい。
- りけん
- さっきの言葉。
- 渡
- 言える?。
- カタヨセ
- ああ、言える。素晴らしいことをしようとしても、あなたが素晴らしい人じゃなかったら素晴らしいことはできないから、あなたのままで良い。
- りけん
- あー。
- カタヨセ
- やろうとしてもできないんだから、あなたがやれることをただやって。
- りけん
- うん。
- カタヨセ
- そうすると楽になるんだよね。
- 渡
- うまくやろうとするんじゃなくて、少なくとも一緒にやる人のために関わってください。
- りけん
- うん。
- カタヨセ
- 頑張っちゃうもんな。
- 渡
- そう。だからうまくやろうとするんじゃなくてただやる。ただやるってことをずっとやってたら1年前のビデオ観たらその時よりもうまくなってるってことに気づくって話で。
自分でなんか、ベストを尽くそうとかじゃなくて、ベストがやってくるみたいな感じ。 - りけん
- んー。
- 渡
- リラックスして、何にも囚われもなくて。で、一緒にこう楽しんでやってた時にベストになっていくみたいな。自分から「話を聞こう!」って思うと話を聞こえなくなっちゃうみたいな。
見よう見よう!って思ったら見れなくなっちゃうみたいなことなんで、ただやる(笑)っていうことがまぁ、一番、難しいっちゃあ難しいんですけど。 - カタヨセ
- 難しいよ。
- 渡
- うん。でもそれにチャレンジしてるかっていう。
- りけん
- だから、多分、さっきから話を聞いてると、即興ってその例えば「お芝居」っていうか、「お芝居みたいなもの」が皆頭の中にあったりして、良いお芝居と悪いお芝居みたいなものがあったりするけど、稽古でもそうですけど、その心構えとか考え方がまずすごく大事だっていうこと。さっきみたいな失敗しても良いんだって。
- カタヨセ
- うん。
- りけん
- 失敗しても良いってことは、うまくやろうとしなくて良い。ただやるっていう。だからその、もう上手い下手がないってことは凄く自由だし。
- カタヨセ
- うん。
- りけん
- その人のあるがままで良いんだっていうその肯定に凄く繋がってくるし、さっき、ねえ、その渡さんが言ったみたいに剣術の本当にマスターした人が刀を置いたみたいな。
- 渡
- 刀いらないっていう。
- りけん
- うん。でも刀を散々振ってきて、到達できるところだから、刀を振るっていうことは、もしかしたら、ワークショップ1回とか2回で分かんないことだと思うんです。
まず皆、そんなこと言われてもお芝居上手になりたいとか、練習するっていう。(ロクディムの)2人もそうだし、このキース・ジョンストンも分かってるんだろうな。こんなこと言っても皆稽古とかしたりして、それなりに「いいもの」みたいなものを目指してくんだろうなって。
でも、多分、最後にきっと気づけるってことを、きっと彼も2人も分かってるっていう。そのなんて言うんだろうな、それも自然体だし、だから無理にさせようともしないっていう。だからこういうメッセージも言うし、ワークショップで『ダメだよ。失敗は良いんだよ』だけど、これを特別これは絶対こうじゃなければいけないみたいなわけじゃない、じゃないですか。 - カタヨセ
- うん。
- 渡
- 失敗はしても良いんだよっていいながら、失敗してない人に『失敗しろよー!』って言ってるような。なんか、大きな矛盾ですよねそれは。でも全然そうじゃなくて、メッセージは出すけど、いつかその人のタイミングで。
- りけん
- うん!うんうん!。
- 渡
- 『なるほど』って時がくるだろうから、それが10年後なのか20年後なのか。
- りけん
- 分かんないですけどね。
- 渡
- っていうことだと思いますね。
- りけん
- だから分かろうとするんじゃなくて、多分、分かるっていうか、ある時にああこれなんだ!って。
- 渡
- そう。ある時に自分が必要な時に降りてくるはず。
- カタヨセ
- そのインパクトたるや凄いよねきっとね。
- 渡
- んんー、凄いと思う。
- カタヨセ
- 凄いよね。それは本人にとってね。
- りけん
- ああこれだって。
- カタヨセ
- そうそう。教わってもダメだよね。体験しないとダメだよね。
- 渡
- そう。体験しないとダメだから。
キース・ジョンストンは「もしかしたら僕がこうやって言ってることが障害になるかもしれない。そしたらあなたたちはそれを全部忘れてください。そしたら自分たちで創ることができる」っていうことを言ってて。それを言えるって凄いなって思ったんです。それもそれでまた衝撃で。 - りけん
- うん。
- 渡
- なるほどなーって。キースがこう言ってるから、こうあるべきだになっちゃったらそれは大きな間違いっていう。そういうことを言ってるんじゃないんだっていう話を聞いた時になるほどなーって。
- りけん
- 結局、自分で本当に気づくしかないっていう。
- 渡
- そう。
- カタヨセ
- キースは、神様を信じていないって言ってて。
- りけん
- ほー。
- カタヨセ
- いろんな宗教の話をユーモアたっぷりに話すよね(笑)。
- 渡
- 神がいるとしたら、私は神信じてないですけど、分かりやすいから言いますけどって言って(笑)。
- カタヨセ
- 神様がいますっていって(笑)
- 渡
- 自分でアイディアを出そうとするんじゃなくて、ただ待ってみてください。そしたら神があなたに何か与えるかもしれない。でも頭の中がいっぱいだったら、多分それはキャッチできないからって。
- カタヨセ
- リラックスしてって。
- りけん
- ふーん。
- 渡
- でも私は神を信じてないけど(笑)
- りけん
- あはは。
- カタヨセ
- すげえチャーミングなじいちゃんだよね。
- 渡
- なんだ、このじいちゃんはって(笑)
- りけん
- もう、まさにもう刀をもう置いて。
- 渡
- 置いてる人でしたねー。
- カタヨセ
- うん。
- りけん
- 広さがあるっていうか。
- カタヨセ
- うん。
- 渡
- そうですね。
- りけん
- 広さすらないのかもしれないっていう。
- 渡
- もしかしたらそうかもしれない。
- カタヨセ
- はー。
- りけん
- でもそういう人っていますよね。なんか本当にもう到達してる人っていうか。それは別に宗教的な意味ではなくて。
- 渡
- そうそうそう。
- りけん
- でもなんかそういう考え方とかに触れられることが、もしかすると即興の面白さっていうか、もしかするとデザインとかって、なんていうんだろうな、その、、お客さんがやっぱりあるから、そういう刀を下ろすんじゃなくて、すげえ良い刀を創るみたいな。
- カタヨセ
- そうですね。
- りけん
- それか、良い型を見せるみたいな、ことだったりするじゃない。
- 渡
- うん。
- りけん
- で、もしかしたらアートは、型じゃなくてもしかしたら、拳銃を開発しました、みたいなことになったり、剣の柄が長くて長刀つくりました、みたいなものかもしれないし。でも即興は、なんかもう刀を下ろすっていうことを、こう気づかせてくれるものだとすると、なんか、もっとこう、即興っていう言葉が世の中に出てきても良いのかなっていう。
- 6ふたり
- うん。
- りけん
- アートとかクリエイティブみたいな、デザインみたいなことって、もしかしたら言葉にしやすいものなのかもしれないし、批評家とかもやっぱりいて、それはもしかしたらお金に繋がるから、もしかしたらそういうのがあるのかもしれないですけど、なんか即興ってもしかするとお金とかじゃないじゃないですか。さっき言ったみたいにお金置いちゃうみたいな。お金捨てちゃうみたいな。
- カタヨセ
- (笑)
- 渡
- 捨てちゃうみたいな(笑)。
- りけん
- そういうもんじゃないですか。だからむしろ芸術家とかじゃなくて、普通の人にこそもっとこう浸透してほしい考え方ですよね。
- カタヨセ
- あ、それはそうですね。
- 渡
- そう、そう、そう、そうです。
- りけん
- アートとかって明らかにこう、じゃあ美大の学生に向けて受かったりする。デザインっていうのも完全に商売っていうかビジネスとしてそこにこうなっている。即興っていうのだけ色んなものから外れたところに、なんか人の生活とか生きるみたいなところと直結する部分で入っているから、なんかこう、なんだろうなあ。もしかしたらそういうものだからこそ、なかなか光が当てづらいっていう、そういうものだから!こそ。
- 6ふたり
- うんうん。
- りけん
- とはいえ、もっと日本の、ね、社会の中に、即興っていうのも、例えば小学校の授業で即興があるとか。
- 渡
- あるべきだと思います。
- りけん
- そうですよね。だって絵を描くことだって、音楽、芸術の授業があるじゃないですか。
- 渡
- うんうんうん。
- りけん
- そうじゃなくて、なんかもっと『即興』みたいな。
- 渡
- うん。そうそうそう。それは本当にそうですね。だから僕がやってるワークショップは皆役者さんだけじゃなくて、色んな普通に会社で働いてる人とかも来てやってるので。
- りけん
- ああ。
- 渡
- 凄く良いみたいですね。
- りけん
- どういうアレなんですか?あの、良いっていうのはどういう風に皆良いって言うんですか?ワークショップで。
- 渡
- 1人は理学療法士で、患者さんの気持ちをもっと理解したい、相手が何を欲しがっているのかとか、自分がその何学的にかは分からないけど、医療学的にこう動くはずとか。
- りけん
- あー。
- 渡
- 本当はこうするべきみたいなことってあるけど、でも患者さんは嫌がっているからとか、この人がやりたいことに合わせながらこっちに誘導していったりとかっていうことをしないと、正解があるのに対してこれはこうだから!って持ってってもしょうがないからっていうこととかを分かったとか。そうすると、もっと患者さんとかのコミュニケーションが友好になって指名が増えたとか。
- りけん
- ふーん。
- 渡
- 学生さんとかもそうですね、特にこれから就職しなくてはいけない子とかに、もう就職って聞いただけで足が震え上がっちゃうっていう、外に出られなくなっちゃうみたいな子たちがそういう即興のワークをして、初対面の人と面を向かうことすら凄くハードルがあるんだけど、良い雰囲気の中でそれをやると、凄く笑顔になって楽しくて『あ、自分にこんな面があるんだ』って気づけたとか、こういう風に話せるんだとか、同じこと考えてるんだとかってことが分かりました。とかっていうのを、やると、学校の先生たちも『え?あんな風にあの子たち笑うんだ!』って衝撃を受けるみたいなのが。大学ですらそうなんだから。
- りけん
- んー。
- カタヨセ
- 面白いね、なんか。
- りけん
- いやでもなんか、あ、どうぞカタヨセさん。
- カタヨセ
- 即興をやった結果としての「良さ・面白さ」というのは取り上げやすい(分かりやすい)んだなって思ったんだ。
けど、多分、それが効果として現れるってことは、やってる最中の他者との関わりとか協力とかっていうところを体感して、その人たち本人が、言葉として良いか分からないけど、癒されてたり楽しんでいるっていう状態が、価値をもっているんだろうねきっと。 - 渡
- そう、そう、そう、そこに価値がある。
- カタヨセ
- それを知ってるか知らないか分からないけど、本人たちが。
- 渡
- そうね。だから即興芝居っていうよりも、なんかそこの。
- カタヨセ
- それ自体が、もう持っているんだろうね。
- りけん
- なんか話聞いてると、本当に今一番日本に足りてないのが即興っていう(笑)
- 6ふたり
- あはははは。
- カタヨセ
- さすが松尾貴史さんは、良いこと言ったよね。
- 渡
- 良いこといったよ。
- カタヨセ
- 即興が世界を救うって言ったものね。
- りけん
- うん!でも本当そうですよね。だって、さっき言ったように子供と、もしかしたら子供と親のコミュニケーションとか、子育てとか就職活動とか、結局なんか即興ってたぶん突き詰めていくと思想みたいなところに入っていくじゃないですか。考え方っていうか。
- 渡
- そうそう。
- りけん
- 立ち位置みたいな、そういうところを。ただ即興ってそれを本で読んで分かったつもりにならずに、
- カタヨセ
- そうそうそう。
- りけん
- まず自分でやってみようっていう。すごく実践的な本当にワークショップ。やってみて初めて分かった。本じゃない。なんかそれって一番小中学校高校ぐらいの授業にあってもいいし、企業の中でのなんかそういうワークショップみたいなのにも、応用もできるだろうし。なんかこう認め合うってことだろうし、相手が求めるものをこう観察してっていうのもそうだし、もっとなんかこう、日本に、受け入れられて良いことですよねえ。
- 渡
- いいと思います。
- カタヨセ
- 認められましょう。
- 渡
- 認められましょう(笑)
- カタヨセ
- あはははは。
- 渡
- 面白いことにキースジョンストンてのは、その禅だってり剣術だったりてのを、ていうところからも、すごくその即興と結びつけていて、すごく日本的だねみたいな。
- りけん
- あ、そうなんですか。
- 渡
- そうなんです。
- カタヨセ
- 禅とか大好きだもんねあのじいちゃんね。
- 渡
- すごく好きなん。あのじいちゃん。
- りけん
- ふーーん。
- 渡
- もう、ほとんどそれ(笑)みたいな。
- りけん
- はー、なるほどなー。。。すごい色んなところ応用効きますね。
- 渡
- きくと思いますね。
- カタヨセ
- うん。
- りけん
- よし、こういろいろ話しを聞いてきて、もしかしたら、あの、ちょっとここ補足してくださいってのがあるかもしれないんで、その時は改めて。
- カタヨセ
- 是非、もう第2回3回4回(笑)
- 渡
- (笑)やりましょう。
- りけん
- や。これは絶対良いですね。面白い!
- 6ふたり
- あははは。
- りけん
- なんか本当、急激に「即興」っていうキーワードが、
- カタヨセ
- それ凄いですよね。
- 渡
- ね。
- りけん
- なんか、かまぼこ作りながら即興ってなんだ。
- 渡
- かまぼこ作りながら?
- りけん
- 昼間かまぼこ工場で。
- 渡
- ああ、そうだよね。で、即興ってのが出てきた。
- りけん
- そう。即興って急に本当に、32歳になって、ASA-CHANGが即興のバトルをやるっていうのと、ロクディムっていうのと、あ、これなんか即興っていうのが、多分、人生の中でテーマっていうか。今即興っていうのを考えろってことなんだろうなって。
- カタヨセ
- うんうんうん。
- りけん
- てのがあって、ちょっと色々話を聞かせていただいたんですけど、今後もちょっとまた掘り下げて。
- 6ふたり
- ぜひぜひぜひよろしくお願いします。
- カタヨセ
- 今度はうまいものと、酒と、鰹とかね。
- 渡
- ね。
- カタヨセ
- 食べながら話したいね。
- 渡
- 泊まりでね。
- りけん
- いやー良かった!面白かったです!
- カタヨセ
- ありがとうございます。
- 渡
- ヒロシがさ、今回きてさ、このLIVEきてさ、うちらじゃなくても良いんだなって思ったっ言ったのはさ。
- カタヨセ
- ああうん。
- 渡
- 去年さ、来た時よりもさ、自分自身もちょっと変わってるってのもあるのんじゃない?。
- カタヨセ
- んー。
- 渡
- 去年よりも。
- カタヨセ
- んー俺変わったかな?(笑)
- 渡
- (笑)まぁでもあるんじゃない?
対談後、遼平くんがさばいたばかりのカツオとイナダを「食べていきなよ」とすすめてもらい、ごちそうになりました。
本当に新鮮なカツオは臭みが全くない(血合いもぜんぜん臭くない)。舌の上でとろけるような柔らかさ。ニンニクをたっぷりつけていただきました。
渡のこの表情!本当においしいカツオとイナダの刺身でした!ごちそうさまでした!
いわきのかまぼこ 貴千
りけんさんが日中「晴耕」として働いてる「かまぼこの貴千」。
昭和38年創業。福島県いわき市から海を中心とした食のつながり、人のつながりを大切に、心を込めておいしい海の幸を届けています。揚げかまぼこや焼きかまぼこ、新商品『さんまのぽーぽー焼風蒲鉾』『とうふかまぼこ絹』など、製造販売しています。Webショップもあるのでぜひ覗いてみてください。
2回目となる対談企画「はなしの時間」いかがだったでしょうか?
前回と比べると収録時間も長く、また、登場人物も多かったので編集に時間がかかってしまいました。が、UDOK. の雰囲気は正にこんな感じで、色々な人が自由に出入りしていて、様々なジャンルで活躍している人が集まる正にオルタナティブなスペースでした。その空気が少しでも伝われば嬉しいです。気になった方はぜひ、直接訪れてみてください。
では次回の「はなしの時間」をお楽しみに!