続・されば通る。誰?「世界の中心でNooooooW!を叫ぶ」

梅雨を階段2段飛ばしくらいで早々に真夏となった今年。カラダが蕩けそうになるほど太陽が刺す暑い夏の日が続いた8月も最終コーナーにさしかかり、同時にそろりそろりと9月の顔がすぐ近くまで見え始めた。

そして、ロクディム第21回東京単独ライブ「NooooooW!」が近づいている。

そう、「NooooooW!」なのだ。英語の「now」、意味は「今」、読み方としては「なああああああう!」だ。ビックリマークの勢いも大事だよ。

既に情報としては外に伝えているが今までのロクディムの即興やライブのやり方とはちょっと違う、文字通り「今」のロクディムの現在進行形の一つの在りようを垣間見ることになるライブになるだろうと思っている(今の今の段階ではね)

自分のイメージとしてはオルタナティブなロクディム公演といった感じか。

はてさて、何が今まで違うのか?

シシドの勝手な主観な雑感を記していこうと思う。

今回の「NooooooW!」元々は全員が集まっての定期稽古の時にそれまではメンバーが交代しつつ稽古のメニューを組んで回していた時に、りょーちんの「稽古でやりたいことがあるから自分が回したい」という提案からの継続した稽古が発展してきたという経緯がある。

そこでの思いは「もっとそれぞれを出してほしい。皆のもっとを見たい。本気を見せてくれ!そしてロクディムをぶっ壊したいんだ」という孫悟飯に対するピッコロ大魔王みたいな親心を持った熱を帯びたものだった。

そう、実はその時図らずも同じような思いは自分自身も抱いていた。ロクディムを結成してから、いやそれ以前からの付き合いも含めると20数年来、メンバーと即興をやってきている。

ロクディムは皆、言ってしまえば手練れのおっさん達だ。よくも悪くもこなせてしまう技術も身についているし、どんなことになっても最終的にはそれなりに形は整えられる、整えてしまえる、何とかしちゃえる腕がある。

それは円熟の何とやらと言えば聞こえはよいが、言い方を変えてみるとパターンとか、マンネリとか「私たち倦怠期ね。最近何だかときめかないのよ」という風にも言いかえられる。と言う風に確かに近頃はシーンにおいてもあまり大きく破綻したりしないし、途方もない失敗もしなくなっている。

シーンが始まると「そうくるってことは、こうくるから、きっとこうくるよね」と即興CPUがくるくると高速回転して未来予想図を描いていく。身体に染みついているロクディムの即興のプログラム。しかし、ここから進化するためにはそれを更新、いや再構築する必要がある。

誰かが言っていた「現状維持は退化だよ」

こうして今回のチャレンジングな「NooooooW!」に向けての時間が動き出した。

稽古で今までだったら気を留めなかった瞬間や感覚に意識的にフォーカスしていく。

そして振り返り検証していく。より具体的に探っていく。掘っていく。何気なくしていたやりとりやその中で見過ごしていたこと、何か違和感があったけどそのままにして先に進んでいたこと。

時にシーンの展開を考えて急いで未来に向かってしまっていた意識と体を「今」に置いてみる。違和感を口に出す。引っかかるところには留まってとことん引っかかってみる。

時折シーンの途中でりょーちんが「NooooooW!」とシーンを止めて厳しく問いかける。(ここは若干脚色、ホントは優しく)

そこで気づく自分の思考やこれまでのやり方のクセ。それに気づいて意識的にその外にあるものを選んで身をゆだねるということをしないと更に自分の可能性の幅を広げることはできない。

そんな風に今までの体の感覚や時間の進み方との違いを確かめる作業が続く。

稽古で相対しあらためて思うことは、お互いに同じ空間にいるだけで驚くほどの情報量を意識的、無意識的にキャッチしていることだ。そしてそれが確実に作用していく。シーンをしながら主観、客観、全体俯瞰の視点が交錯する。何かをしている時や言葉を発している時以外の時の間に何があったのか、なかったのか。全身のアンテナがフル稼働状態だ。

「今」、「今」、「now」にどんどん集中していく、もっと一体化していく…その試行錯誤は続く。いや、続けたいのだ。見当はまだつけられないし、まだまだつけらんねえべ。稽古の段階からのチャレンジングはまだまだ続く。

だからこそ先日の稽古でりょーちんが言った「公演ギリギリまで最後まであがきたい」っていうのはオーケーイエス、ザッツオーライ。みんなでどこまでも悪あがき悪ふざけランナウェイトレインだ。

ロクディムは全員妥協しない、できない、違和感をそのままスルーしない時に厄介な面々だ。(深夜のオンラインでの定期ミーティング時にしばしば幽体離脱してしまうほどだ)

YAZAWAな言い方をすれば仮に外から一部始終を見ている誰かが「ロクディムさん、大体これぐらいでいいんじゃないですか?十分面白いし、そもそも即興だし結末はどうなるかわからないですしね(笑)」と言ったらば、必ずロクディムメンバーはこう言うだろう。

「僕たちは別にいいんだけど‥ROKUDIMが何て言うかな?」

本番までにどこまで壊していけるのか?再構築できるのか?枠をさらに超えていけるのか?ロクディムの即興がより進化、深化…もしかしたら一周回って原始なところに退化しているかもしれない。

ロクディムもそれなりの年齢に入る。健康。家庭。人生。限りある命。それぞれの迎える局面や距離感が異なるメンバーの「今」が交錯する。ロクディムそれぞれの人間の醸造されてきたものや恥ずかしい部分も含めてさらけ出される「今」

そんな「今」がどんな風に切り取られるのか?

「NooooooW!」に向けてどんな「今」が積み重なっていくのか?どんどん捨てていくのか?

そしてこれを書いている「今」の自分。

深夜2時。なかなかのお眠さんだ。眠れる獅子…いや眠れるシシドを呼び起こして最後に力を振り絞って殴り書こう。

今のための今、次回に繋げるための今じゃない。今出さないと次の「今」は来ない。もうない。「今」思っている「今」がまた巡ってくる保証はない。だから「今」に対してどれだけ「今」向き合えるかの「今」(今って何回出てきた?)

だんだんややこしくなってきたが、言いたいことはつまり

この「NooooooW!」は9月3日、4日に訪れる。その「今」を今から楽しみにしてほしい。すべての「今」は「NooooooW!」に通ず。

なんだか小難しく記したが、安心してほしい。ロクディムがどこにどうなってどうかなってしまったとしてもやっぱり「この瞬間を一緒に笑おう」だけはブレずに中心にあると。

会場はそんな「NooooooW!」を堪能するためには最適な空間であり雰囲気を持ち合わせているアトリエ第Q藝術。

一緒に「今」を創ろう。

ジョジョセリフ風に。
暖かく熱く見守るりょーちん
次の演目を思案している名古屋師匠
神の視点とバランスを持つ男
「オダサン」と現地で慕われブルックリンでパブを経営している小田さん
どんな願いも笑いで叶えてくれる魔人
スカイツリーと私