【魔法エピソード、はじめます】
2014年4月25日(金)CLASKA Presents LIVE「笑う魔法」出演にちなんで、「魔法エピソード」のコーナーをはじめます。
「笑う魔法」は1日限りの1回公演、魔法のように突然現れ、魔法のように終了します。 そんなマジックアワーな「笑う魔法」本番まで、ロクディムメンバーそれぞれが「私の魔法体験」、つまり「魔法エピソード」を綴っていきます。
メンバーそれぞれの、不思議だったり感動したり奇跡的な瞬間だったりの「魔法にかかったようなエピソード」の数々は、舞台では見れない意外な一面が垣間見れる、、、かもしれません。 (数年前のメルマガが思い出されます・笑)
また、この「魔法エピソード」はロクディムfacebookページとも連動しているので、ぜひ「いいね!」をポチッとしてください。
さて、Episode4はりょーちん編です。
今思うと、あれは魔法だったのかなと思うことがあります。
そのことを言う前に、僕の昔のことを説明しなくてはいけません。
僕は、昔から髪の毛が薄いという欠点がありました。
でも、小さい頃は全く気づかず(むしろ、ふさふさしている気さえしていました)、年月を送っていました。
それが覆ったのは、高校生の時でした。
サッカー部に所属していたのですが、とある雨の日。
練習が終わって、部室へと帰る道すがら、
「りょう、お前、髪ぺったんこになってるぞ」
「はげてるんじゃないか」
雨に濡れた僕の髪を見て、みんながそう言うのです。
そう、そこで僕の髪に対する自我が芽生え、その日から、僕の髪は僕にとって「コンプレックス」になりました。
大学時代や、養成所時代は、極力タオルを巻いたり、髪の毛をいかにふんわりと仕上げるのかに命を燃やしました。いろんなスプレーを試しました。(髪の毛に腰が出る。髪の毛が強くなる。髪の毛にボリュームが出る。と書かれた物は全て試しました)
しかし、鏡を見るたびに、我に返り、頭を隠す日々。
「ああ。キムタクは、髪の毛をたなびかせているのに、なぜに僕は。ふんわりすることだけに命を燃やしているのだ。ああ、これからはタオルなしでは生きていけないかもしれない。うん。僕はタオラーとして生きていこう」
太宰のように悩んだ僕のタオルはいつしか、僕の身体の一部と化しました。
そんな生活を2年ばかり過ごした頃、とあるインプロのチームを組んでいた時に、メンバーにいた渡くんが、稽古中に急に、
「断髪式をやるぞ〜」
とバリカンを持って来て、僕の頭を刈ろうとしたのです。
次の日は、ライブという日。
何を言っているのだと最初思いましたが、なんと他のメンバーも既にそのことをシェアしていたのか、僕を羽交い締めにする始末。
「ひええ。ひええ。何をするの〜」
抵抗する僕を、バリカンが襲います。
「坊主にするよ」と、渡くんは、うなるバリカンを片手に僕の頭を刈ろうとします。
「刈るよ、刈るよ」耳元でうなるバリカン。
僕に同意をバリカンが求めようとしています。
「坊主になるのは面白いかも」楽観的な僕がいます。
「でも、頭の形がずっと悪いって、床屋のおばさんんが言っていたよ」悲観的なおばさんの僕もいます。
ウィ〜ン。うなるバリカン。悩む僕。語るおばさん。「あんたの頭はね・・・」
「やってください」
出した結論は、坊主になることでした。
次の日のライブ。
お客さんの前で、坊主にしたことを発表しました。
そんなこと発表してもとは思いましたが、「初めて髪の毛とおさらばしたんだ。みんなにきちんと見せよう」
そう思って、被っていた帽子を取りました。
すると、お客さんは、「わあ。似合う〜」などと、すごく好意的に僕の坊主姿を受け入れてくれました。
めちゃくちゃ嬉しかったのを覚えています。
「おばちゃん、頭の形、全く問題ないぜ」
そのお客さんの中に、なんと、今井純さんの姿が。
純さんは、僕にグーと指を突き出してくれました。
「ん?もしかして・・・」
後で渡くんに聞くと、純さんから、
「りょーちんは坊主のが似合う」と断髪式をやるように言われていたとのことでした。
むむむ。やりおるな、純さんめ。
と、坊主になって、あれから早14年あまり。
僕のコンプレックスは、僕の長所に変わりました。
僕を見ては、みんな忘れることはないし、こどもたちは僕を見ては、頭を触りに来ます。
そう。僕は、坊主という魔法によって、髪の毛が薄いというコンプレックスから抜け出ることができたのです。
ごまかすのではなく、ただ晒す。
そしたら、そこにあったのは、何でもない世界。むしろ、心地いい世界でした。
これからも坊主の(今はもうスキンヘッドですが)りょーちんとずっと付き合っていきます。
りょーちんがりょーちんであるための一番のツールなのですから。
そう。「魔法のコンプレックス」。
【ライブ情報詳細】:2014/04/25(fri) CLASKA Presents LIVE 「笑う魔法」