ココロオドル episode |ホワイト餃子の時間|#03小田篤史

atsushi_001

「好きな食べ物は餃子」

誰かに好きな食べ物を聞かれたとき、僕はそう答えていた。

でも心の中では、
「餃子は餃子でも、ホワイト(餃子)なんだ・・・」
いつもそう呟いていた。

皮が分厚くて、食べると
「カリッとして、モチっとして、ジュワっとする」。
白いご飯が7倍美味しくなる餃子。
それがホワイト餃子。

本店は千葉県野田市。
支店が僕の実家のある柏にもあって、
僕はこのホワイト餃子を小さいころから食べていた。

もともと餃子は好きだった。
だけど、ホワイト餃子を食べてから、
1番好きな食べ物がドーナツから餃子に変わった。

ただ・・。

ホワイト餃子を知っている人にとってのそれは、
お店で焼き上げられた揚げ餃子に近い、キツネ色のものを思い浮かべるのだと思う。

僕が思い出すホワイト餃子はちょっとだけ違う。
冷凍で買ってきた『家で焼いた餃子』
白い包装紙に包まれていて、水色の文字で『ホワイト餃子』と書かれたもの。

母が焼いた、家族みんなで食べる餃子。

それと中学の部活から帰って、
仕事をしていた母の代わりに、姉が焼いてくれた餃子。

お店で焼くよりも火力は弱い。
油の量も少ない。
他の人にとってみたら味は当然、お店の方が上だろう。
でも僕が好きなホワイト餃子は、家で焼くキツネ色の部分が少ない餃子

ホワイト餃子は美味しい。
誰に紹介しても美味しいと喜んでくれる。
だけど、僕が食べてるホワイト餃子は・・・・『もっと美味しい』

20年以上前の夕飯。
特別な事なんて何もなくて、
忘れてしまうような平凡なあの時間。

サラッと過ぎていったように思う20年以上前の時間たちが、
毎日のこの瞬間を支えてくれている。

舌を通し、
喉を通って、
味わうことで、
大事な何かを
心のどこかで思い出す。

それは食べ物と、そこに刻まれた記憶。

あの日、誰かと食べたご飯。

あの日、誰かと食べられなかったご飯。

どんな味の記憶も、きっと今の僕たちを支えている。

ぼくはまたホワイト餃子を食べる。

「ホワイト餃子の時間」は僕にとっての【ココロオドル時間】

美味しい。

でもそれだけじゃない何か・・。

『食べる』という
小さな出来事の連なり。
それは今この瞬間の
「ココロオドル時間」を作ってくれる。

—————3月28日—————

ロクディム第8回東京単独ライブ。

ロクディムとお客さんの間にある
小さな出来事の連なり。
そこにはきっとココロオドル時間が
待っていてくれる。

「ココロオドル~瞬間のキセキ~」ぜひ体験してください。

小田篤史


P_20150221_171420_AS_002_9