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続・されば通る。誰?「ドついてるねん。」

最近、遠くを見る際に目を細めることが増えた。

正確には遠くの字を見る際に目を細めて焦点を合わせることが増えた。

例えば、眉間にシワを寄せて遠くに向けるその眼差しはクリントイーストウッドだったなら人生を達観した渋みと慈しみを持った味わい深い男のダンディズム満載な絵として映るであろうが、自分の場合は残念ながら「機嫌悪い?」もしくは「お腹痛いの?」と言われる域を出ないのが実際だ。

それはさておきとにかく日常生活の際には一切支障はないが、映画館での字幕やテレビを見ている時の小さなテロップ、運転時の前方の標識などそれなりにぼんやりしてきてクリントイーストウッド顔になる機会が増えた。

ずっと「別に不便してないし」とか「されど心の目は開いておる」などど言い訳しながら先延ばしにしていたが最近眼科に行く機会があり視力検査をしたところ、ずっと「永遠の0.7&0.8」コンビだと思っていた左右の視力が0.3と0.4になっていたのをきっかけに決心した。

「眼鏡を作ろう、度付きのね。」

そう、年相応に機能は低下していく。補えるアイテムがあるならそれで補えばいいんだというシンプルな考えでよいのだ。何を今まで抗ってきたのか。

よし、そうと決まればだ。早速眼鏡屋に出かけた。

お店に入ると展示棚に沢山の眼鏡が並んでいる。まずはどのフレームにするかを選ぶところから始まるようだ。「眼鏡は顔の一部です~♪」という有名なCMが昔あったのを思い出す。それくらい形によって確かに印象が大きく異なってくる。

野比のび太、くいだおれ太郎、カーネルサンダース、江戸川コナン・・etc

彼らの眼鏡の形が今と違っていたら・・膨らむ想像は今回は割愛する。

順番にいろんなフレームの眼鏡を手にしてみる。

スクエア、オーバル、ウェリントン、ボストン、ラウンド・・まるで機関車トーマスの仲間たちみたいな名前のフレームが種類ごとに沢山並んでいる。

さて、どれにたらいいのか?どれがふさわしい顔の一部となり得る形なの?いくつか付けて試してみる。スクエアだとなんかお固い感じ、丸いフレームだと若干コミカルな感じと確かに眼鏡ひとつでキャラの印象が違ってくる。いろいろ試してキャラ設定を楽しみながらも次第によくわからなくなってくる。なんだか疲れてきたな・・と思った時ふとお店の壁に貼ってある、この顔の形にはこのフレームがオススメというようなパターン表が目に入ってきた。

そこには丸顔、四角、三角、面長と顔の形の図が載っていてそれぞれに合うオススメのフレームはこちらという風に丁寧に書いてある。

さて自分の顔は何形?今まであまり意識していなかったがあらためて問われると即答できない。鏡で確認してみる。

丸?いや・・四角ではないか。三角でもないような・・しいて言うなら面長か。面長だったんだね自分の顔は!と些細なことだが新たな発見、気付きにウンウンそうかそうかと頷きながらパターン表をさらに見る。

面長にオススメなのは・・ボストンとウェリントンいう縦長のフレームがベスト!ということでこのアドバイスと自分の直感を頼りにいつくかを付けて比較しつつ微妙な感覚や印象の違いを探りながら最終的にウェリントンという形のフレームから顔の一部となるひとつを選び出す。

フレームは決まったので次に目に合うレンズを選ぶため今の視力を測定することになる。

測定器に顔を寄せて額と顎を固定し、順番に出てきた文字や図形の焦点が合うのはどのレンズかを確認していく。

測定が終わり「視力は0.7ですね。」と結果を告げられる。おお?眼科で測った時は0.3と0.4だったのけど・・0.7って?どういうことなのか・・回復したのだろうか?

さらに「ちょっとだけ乱視も入ってますね」とおまけも付いてきた。

内心「じゃあ、まだギリ作らなくてもよかったんじゃね?」とも思ったが、まあ視力がこれ以上よくなることはないであろうから必要に応じて使うというスタンスでよきかなということでそのまま作ってもらうことにする。

後から聞くと疲れていたり寝不足等、その時のコンディションによっては測定の結果が変わってくることもあるとのこと。

「これが1.2の視力程度に見えているものですね。」と案内される。一瞬「海外では6.0くらいの視力の人もいるらしいので同程度見えるものはありますか?」」と言いそうになるが、「だったら双眼鏡買ばいいでしょうがッ!」と自身で突っ込むことで衝動を抑える。

形、レンズを決めて出来上がりの時間にお店に再訪し無事眼鏡を手にする。

早速眼鏡をかけて周りを見渡す。

おおう!よく見える!世界の輪郭がくっきりはっきりと見える。

ぼやけていたものがスッキリした気分になる。見上げると青空と雲が8K(見たことないけど)いやそれ以上のクリア映像の如くに綺麗に入ってくる。

少し時間が経った後、つけているのを忘れて顔を触ろうとして早速レンズに手をぶつける。

これから顔の一部・・いや時々顔の一部になるのには、まだまだ慣れが必要だが悪くない。うん、いい感じだ。

つけたまま自宅に戻り家族に見せた。

なんか笑われた。理由は聞かなかった。笑いが取れたからよしとしよう。

眉間のシワも必要な時に取っておこう。

眼鏡越しに見える限りの遠い遠くを見てそう思った。