拝啓 渡猛さま
「拾い上げたラブレター」読ませていただきました。
(読んでいない方はぜひ↑からどうぞ)
私自身、まったく忘れていた、というか記憶から消えていたお話でした。
小田アツシの描かれ方が納得いかず、記憶の彼方に葬ってしまったのかもしれませんね。
なぜ私がこんなにも悪の象徴のような存在として描かれているのか。
疑問は残りますが、私もこの小説のファンです。
お返事として、この話を読んで久しぶりに思い出した子どもの頃の話を書きます。
幼稚園の頃は集団生活に馴染めなかった私でしたが、
小学校1年生になり少しずつ友達ができました。
友達が1人2人と増えていき、学校に行くことも嫌ではなくなってきた頃のことです。
ある(たぶん)裕福なお家のお友達から「誕生日会」に誘われたのです。
「誕生日会」というものを知らなかった私でしたが、
どうやら誕生日の人にプレゼントを持っていくらしいということはわかりました。
共働きだった両親の代わりに面倒を見てくれていたおばあちゃんが、
「誕生日会」にいくならプレゼントを買わなきゃいけないだろう。
「お小遣いをやるから買っておいで」と私に言いました。
誕生日をお祝いするのだから、孫に何かプレゼントを持たせた方がいい。
おばあちゃんは私を思って、そう言ってくれました。
そんなおばあちゃんに私は
「ばあちゃん、プレゼントは買ったものじゃダメなんだよ。自分が大事にしてるものを友達に渡すんだ」
そう言って説得するおばあちゃんを振り切り、私は「誕生日会」に向かいました。
広くて芝生が青々としている庭の奥にある玄関は大きくて、インターホンを押すと友達は家に入れてくれました。
友達ととても若いお母さんがリビングに案内してくれました。
すでに何人かの友達は来ていて、唐揚げやジュースがたくさんテーブルに並んでいました。
何かのゲームをやって少し楽しんだ後、プレゼントタイムになりました。
みんなどこかのお店で買ってきたであろう、色とりどりの包装紙に包まれたプレゼントを渡しました。
「おめでとう」
「ありがとう」
順番にその友達に渡していきました。
そして、私の番。
私は手に握りしめていたプレゼントを彼に渡しました。
「キン消し」でした。
当時流行っていたキン肉マン消しゴム。
それは私が大事にしていたモノでした。
キャラクターは阿修羅マンだったような気がします。
友達は「阿修羅マンだ、ありがとう」と言いました。
その後の記憶は残っていません。
「誕生日会」でその後何をしたのか。
覚えていませんでした。
覚えているのは、1つだけ。
後日おばあちゃんと改めてプレゼントを用意して、届けに行ったということ。
「この間はプレゼントを忘れてすみません、これどうぞ」
おばあちゃんが若いお母さんに伝えると
「あら、気を使わしてしまってすみません」と言いました。
友達は「ありがとう」と言いました。
小さい頃の記憶だけど妙に心の奥に残っています。
その時のことを思い出しました。
全て実話です。
その後、この経験の反動から、「すべての人を見返してやりたい」
悪の化身のようなロクディム島の小田アツシが生まれたとか、そうでないとか・・・。
というエピソード0的な思い出でした。
この思い出話は渡さんには話してなかったはず。
「拾い上げたラブレター」へのお返事でした。
今日はここまで。