【写真クレジット:福岡市立西市民センター(撮影:Nakao Masahiro)】
このページで使用している写真は福岡市立西市民センターの承諾をいただいて、福岡市立西市民センターのフェイスブックページから転載・引用させていただいております。
【福岡でのワークショップの振り返り】
4/2+3+4の3日連続で実施したワークショップ(福岡市立西市民センター主催10代のためのパフォーミングアーツワークショップ)「KITEN!」無事に終了しました。
【春は、即興でアクション!リアクション!コミュニケーション!】
というタイトルで3日間の継続したワークショップをおこない、最後に家族や関係者をホールに招いて発表をするというものです。
10代のためのワークショップということで、中・高学年の小学生〜高校生までと幅広い年齢の参加者でした。
発表に向けて1日目、2日目、3日目と少しずつステップアップしていくプログラムにチャレンジする姿、みんなのたくさんの笑顔と笑い声、そして、限られた時間の中で一生懸命に取り組み、発表へ向けてドキドキワクワクしている様子など、全てがドラマチックなキラキラした時間でした。
今回は「アクション!リアクション!コミュニケーション!」というタイトル通り
・自分のアクション
・それに対する相手のリアクション
・そのやりとりから生まれるコミュニケーション
という3つの要素をキーとして、自分と相手の世界が違うことを前提とした「やりとり」から即興演劇をやってみよう!というようなプログラムを組み立てました。
【ワークショップのメモ】
そんな中、こんなことがありました…
【連想ゲームから】
連想ゲームをした時に、それぞれの意見=この場合は連想なので想像する世界(イメージ)=が違うのは悪いことじゃないし、それが(自分と他者の違いが)そもそも前提なのだということ、その違いを活かしあうこと・掛け算することで、想定以上におもしろいものが生まれると思うんだ、ということを説明して、部屋(音楽室)の蛍光灯を消して窓の外に広がる夕焼けの空をみんなで見た。
空の色は何色?何が見える?(今何を見ている?)それをどう思う?
など、同じ空を見たとしても、それぞれ違うんだよね〜を体感できて楽しかった。
【キャッチボールから】
舞台上で2人組になって「キャッチボール」と「挨拶」をする。
その後、少しずつ2人の距離を離していく。
最終的には「舞台上」と「客席の一番後ろ」まで離してやってみたら、これまで小さい声しか出していなかった子が「いくよー!」と大きな声を出していて、大きな身振り手振りが自然に出ていた。
【図書室では芝居がやりづらい!?】
タイトルを「図書室」としたシーンをやってみようか、と話していたら
「図書室は喋っちゃいけないからやりづらいと思う」
という意見が出た。
「確かにそうだね。でも、静かな図書室という状況でもお芝居はできるかもしれないから、やってみない?喋らなくてもいいんだよ。逆に、喋って怒られちゃうっていうことになってもいいかもしれないね」
など話して、「じゃあやってみよう」と(参加者が)なってくれたのでやってみたら、見事!に、これまでやったことのないシーンが生まれた。
舞台上で2つのシーンが同時進行するような、重なりのあるシーンになっていき、見ていてものすごく面白いシーンになった。
「やりづらさ」の原因が「嫌だ・やりたくない」ならやらなかったと思うのだけど、今回の場合は「一般的に図書室で話してはいけないというルールがある」から「お芝居がしづらい=想像しづらい」ということがポイントのように感じたので
・芝居は「しゃべらなきゃいけない」わけじゃないよ
・喋らなくても伝わるものがある=初日にやったアイコンタクトもそうだね
・即興演劇は「こうあるべき」(ルールや型)をしてほしいんじゃなくて、自分が想像するものを表現して相手とやりとりしてほしいんだ。
・静かな図書室のシーンもいいよね
・逆に、図書室では話しちゃいけないというルールを超えたらどうなるかな?
というような説明をしてやってもらった。
自分の中に「こうしなきゃいけない」という縛りや囚われがあるのなら、それをできるだけほぐしたい、柔らかくしたいと思った。
【自分で決めること:決断力】
相手に合わせたり尊重するのが上手な優しい男の子が、その優しさから「自分で決めること」をあまりしない様子だったのだけど(一緒にやっている相手に判断を委ねたり、尊重することが多くて、それはそれで大切なこと)、3日間を通して、少しずつ「自分から決めていく」姿が見れたこと。
あるシーンでは、誰かが「それ」を具体的に決めないことでモニャモニャ困っちゃってたんだけど、彼が決めてくれたことで、共有情報・具体的な存在になり、やりとりがしやすくなっていった。
などなど、思い出すと色々でてきてしまい、まとまらないですね(笑)
「KITEN!」の特徴と発表会について
今回は、中・高学年の小学生〜高校生までと幅広い年齢のため、言葉だけの説明では難しい部分もあり、デモンストレーションをしたり実際に即興芝居としてやってみたりと、いろいろな工夫をしたのも個人的に楽しく、気づきもあり貴重な機会になりました。
最後の発表では、参加者みんなに相談して、ちょっと長めの前説をさせてもらいました。
今回の発表は「この3日間でセリフを覚えて練習した劇を披露します!」というような「見る・見られる」という関係性ではなく、「今、おこなわれているものを一緒に体験・目撃していく」ような関係性になってほしかったからです。
出演者(WS参加者)が「即興演劇」というものに取り組んでいる姿や挑戦していることを、観客の皆さんに知ってもらってから始めたかったのです。
即興演劇ってなに?どう見たらいいの?どういうことに挑戦する?などについて
・(先の決まっていない)即興をする意味や意義
・即興で演劇をするということ
・即興では何をキー(ポイント)としてやっているのか
・出演者みんなが「今」どう取り組んでいるか、相手とやりとりしているか
・そういう姿をぜひ応援しながら目撃してほしい
というようなことを話してスタートした発表。
やっぱり観客が入ると、これまでのワークショップとは違う本番の緊張感が大きな影響を与えます。
そんな中、みんな一生懸命に挑戦していて、ほんとうに素敵な発表になったと思います。
発表が終わり、つまり3日連続のワークショップが終わり、最後に、みんなの顔が見えるように輪を作って座り、振り返りとして、ひとりずつ感想を言葉にしていきました。
それぞれの視点で、それぞれの体験を、それぞれの世界の話を、全員に聞こえるように話して、みんなで耳をすませて聞くという素敵な時間。
まさに、アクション、リアクション、コミュニケーション。
こうして今回のワークショップが終了しました。
参加してくれたみんな、ありがとう!
また会える時を楽しみにしているよ!
【最後に…感謝を】
主催であり、発表のために豪華な舞台を用意していただいた福岡市立西市民センターの皆さん
企画やプログラムについて多大なお力・助言をいただいた髙橋さん
アシスタントして力を貸してくれた、まさきちさん、けちゃ(高野桂子・演劇的ユニットPUYEY代表)、宏志くん(荒木宏志・劇団ヒロシ軍代表)
素晴らしい照明で即興の舞台を彩っていただいた内田さん
毎回ワークショップを見守ってくださった奥村さん、中尾さん
本当にありがとうございました!
3日間どういったことをしたのか、などはシェア元の「福岡西市民センター」のFBページで書いてくださっているので、ぜひそちらもご覧ください。